DX認定制度とは?申請要件・メリットと行政書士による申請支援

本記事は、2026年7月17日時点の法令、申請要項及び公表情報に基づいて作成しています。認定基準、申請方法、支援措置等は改正される場合があります。申請に当たっては、IPA及び経済産業省が公表する最新の申請要項等をご確認ください。

DX推進の準備状況を、経営方針・体制・KPI・情報セキュリティから整理する

デジタル技術や生成AIの活用が広がる中、単に新しいシステムを導入するだけでなく、経営方針、業務プロセス、組織体制、人材育成、情報セキュリティを一体として見直すことが求められています。

しかし、実際にDXを進めようとすると、

「DXの方針をどのように社内外へ示せばよいか分からない」
「システムは導入しているが、経営戦略と結び付いていない」
「DX認定の申請要件を満たしているか確認したい」
「ウェブサイトに何を公表すればよいか分からない」

といった課題が生じます。

DX認定制度は、このような事業者が、自社の経営方針とデジタル活用の方向性を整理し、DXを継続的に推進する準備が整っていることについて国の認定を受ける制度です。

アイアンバード行政書士事務所では、制度要件の確認、公表内容の整理、申請書類の作成、電子申請、認定後の更新まで、事業者の状況に応じたDX認定申請支援を行っています。

DX認定制度とは

DX認定制度は、情報処理の促進に関する法律第28条に基づく認定制度です。
DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第二十八条に基づく認定制度) (METI/経済産業省)
DX認定制度のご案内 | 社会・産業のデジタル変革 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

経済産業省が策定した「デジタルガバナンス・コード」に対応し、デジタル技術によって自らの事業を変革するための準備が整っている事業者を国が認定します。

経済産業省の主管の下、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が審査事務と問合せ窓口を担当し、IPAの審査を経て経済産業省が認定します。

対象となるのは会社だけではありません。個人事業主、公益法人その他の法人を含む、幅広い事業者が申請できます。

DX認定は、導入したシステムの機能や性能を評価する制度ではありません。

また、特定の商品やサービス、AIツールの品質を国が保証する制度でもありません。

認定の中心となるのは、経営者がDXの方向性を定め、その実現に必要な戦略、組織、人材、ITシステム、指標、情報セキュリティ対策を整理しているかという点です。

DX認定は、いわば「DXを経営として進めるためのスタートラインに立っている状態」を確認する制度といえます。

認定の対象は「自社の事業変革」です

DX認定で対象となるのは、申請事業者自身の業務やビジネスモデルを変革する取組です。

例えば、IT事業者が顧客企業へDXサービスを提供している場合でも、自社の経営や業務の変革に関する方針、戦略、体制等が整理されていなければ、それだけで認定対象となるわけではありません。

申請に当たっては、顧客へのサービス提供実績だけでなく、

  • 自社がどのような経営課題を抱えているか
  • データやデジタル技術をどのように活用するか
  • 自社の事業や業務をどのように変えていくか
  • その変革をどのような体制で進めるか

を明確にする必要があります。

DX認定で確認される主な事項

DX認定の申請書では、主に次の6つの事項を整理します。

1.経営方針とデジタル活用の方向性

自社を取り巻く経営環境やデジタル技術の進展を踏まえ、経営者が今後どのような事業を目指すのかを示します。

単に「業務を効率化する」「ITを活用する」と記載するだけではなく、自社の経営ビジョンや将来のビジネスモデルと、デジタル活用との関係を説明する必要があります。

2.経営方針を実現するためのDX戦略

経営ビジョンを実現するために、データやデジタル技術をどの業務で、どのように活用するのかを整理します。

例えば、次のような内容が考えられます。

  • 顧客情報や案件情報の一元管理
  • 紙や表計算ソフトに依存した業務の見直し
  • データ分析による提案内容の高度化
  • オンラインサービスや新たな事業モデルの構築
  • 生成AI等を活用した業務プロセスの改善

個別のツール名を並べるのではなく、経営課題、取組、期待する成果のつながりを示すことが重要です。

3.組織体制とデジタル人材の育成・確保

DX戦略を誰が責任を持って進めるのか、社内の役割分担を整理します。

また、デジタル人材については、自社で育成するのか、採用するのか、外部のIT事業者や専門家と連携するのかを示します。

小規模事業者や個人事業主であっても、代表者がDX推進責任者を兼ね、必要に応じて外部事業者と連携する体制を整理することができます。

4.ITシステム環境の整備方針

DX戦略を実行するために必要なITシステム、データ基盤、業務管理環境等をどのように整備するかを示します。

既に使用しているシステムだけでなく、今後整備する予定の環境も含めて整理できます。

重要なのは、システムの導入自体ではなく、そのシステムがDX戦略の実現にどのように役立つかを説明することです。

5.DX戦略の達成度を確認する指標

DXの取組状況や成果を確認するため、具体的な指標を設定します。

例えば、次のような指標が考えられます。

  • 業務処理時間の削減率
  • 電子申請やオンライン対応の割合
  • データ入力や転記作業の削減件数
  • 顧客への回答時間
  • 新サービスの利用件数
  • 顧客単価やリピート率
  • 従業員のデジタル研修受講率

指標は、DX戦略と対応している必要があります。測定方法や確認時期も併せて整理しておくことが望まれます。

6.経営者による情報発信と情報セキュリティ対策

経営者がDX戦略の推進状況を対外的に発信する仕組みを設けます。

また、DXの前提として、自社の課題分析とサイバーセキュリティ対策を実施していることも確認されます。

中小企業については、所定のセキュリティ監査に代えて、IPAの「SECURITY ACTION」における二つ星の自己宣言を利用できる場合があります。

SECURITY ACTIONの概要や当事務所の取組については、SECURITY ACTION自己宣言もご参照ください。

ウェブサイト等での公表が重要です

DX認定では、社内で方針や計画を作成するだけでは足りません。

申請書の設問のうち、次の事項については、原則としてウェブサイト等で対外的に公表していることが必要です。

  • 経営方針とデジタル活用の方向性
  • DX戦略
  • 組織・人材及びITシステム環境の整備方針
  • DX戦略の達成度を測る指標
  • 経営者による情報発信

一方、自社の課題分析とサイバーセキュリティ対策については、公表そのものは必須とされていませんが、申請前に実施しておく必要があります。

申請では、公表ページのURLと該当箇所を示し、認定基準を満たしていることを説明します。

そのため、申請書だけを先に作るのではなく、

  1. 経営方針とDX戦略を整理する
  2. 経営者の意思決定を行う
  3. 必要な内容をウェブサイト等で公表する
  4. 公表内容に基づいて申請書を作成する

という順序で準備することが重要です。

DX認定の基準となるデジタルガバナンス・コードについては、「デジタルガバナンス・コード3.0」とは?企業価値向上への重要ポイントで詳しく解説しています。

認定後は申請内容が公表されます

認定を受けた事業者は、IPAの認定事業者一覧に掲載されます。

また、認定事業者一覧では、認定事業者の申請書を閲覧できる仕組みとなっています。

申請書に記載した内容がすべて社内だけにとどまるわけではないため、次の情報を不用意に含めないよう注意が必要です。

  • 顧客名や取引先名
  • 個別の契約内容
  • 営業秘密や技術上の秘密
  • 詳細なセキュリティ設定
  • 未公表の事業計画
  • 個人情報

公表情報だけでは説明が難しい場合には、審査用の非公表補足欄や補足資料を利用できる場合があります。

ただし、非公表資料だけで認定基準を満たそうとすることはできません。公表が必要な事項については、外部から確認できる形で一定の内容を示す必要があります。

DX認定を取得する主なメリット

自社のDX方針を社内外に示せる

認定事業者はIPAのウェブサイトに掲載され、所定の使用規約に従ってDX認定ロゴを使用できます。

ウェブサイト、会社案内、名刺、採用資料等で、自社がDXに取り組んでいることを示す手段となります。

ただし、DX認定は個別の事業成果やサービス品質を保証するものではありません。

「DXによる成果が既に実現している企業」と誤認される表示ではなく、DX推進の準備を整え、継続的に取り組む事業者として表示することが適切です。

経営方針とデジタル施策を整理できる

DX認定の準備では、経営ビジョン、DX戦略、組織体制、ITシステム、KPI、情報セキュリティを一体として見直します。

申請準備そのものを、自社の業務や経営課題を整理する機会として活用できます。

金融・人材育成等の支援措置を検討できる

DX認定事業者については、中小企業向けの金融支援、人材開発支援助成金における取扱い、DX銘柄・DXセレクションへの応募など、各種支援措置が設けられています。

また、一部の補助金では、DX認定が加点項目として位置付けられる場合があります。

ただし、DX認定を受けただけで融資、助成金又は補助金を受けられるわけではありません。

それぞれの制度について、対象者、対象事業、審査、申請時期その他の要件を別途満たす必要があります。制度内容は改正されることがあるため、利用時点の公募要領や取扱機関の案内を確認してください。

補助金制度を事業へ導入する際の基本的な考え方は、当事務所での補助金制度の考え方でも解説しています。

DX認定申請の流れ

1.現在の取組と公表情報を確認する

まず、既存の経営計画、事業方針、ITシステム、社内体制、情報セキュリティ対策等を確認します。

既に実施している取組であっても、社内で共有されていない、公表されていない、DX戦略との関係が説明されていない場合があります。

2.不足する方針や取組を整理する

認定基準に照らし、次のような不足事項を整理します。

  • 経営ビジョンが明確になっていない
  • DX戦略が個別のシステム導入にとどまっている
  • 推進責任者や役割分担が定まっていない
  • 人材育成の方針がない
  • ITシステム環境の整備方針が不明確
  • KPIが設定されていない
  • 情報セキュリティ対策が整理されていない

必要に応じて、取組内容や公表文書を新たに作成します。

3.経営者の承認を受け、公表する

DXに関する方針や戦略は、経営者又は取締役会等の意思決定機関で確認し、ウェブサイト等に公表します。

申請のためだけに文書を作るのではなく、実際の経営方針として実行できる内容にすることが重要です。

4.GビズIDを準備する

DX認定の申請は、DX推進ポータルから電子的に行います。ログインにはGビズIDが必要です。

IPAは、認定取得後の継続的な管理を考慮し、GビズIDプライムを取得した上で、担当者がGビズIDメンバーを利用する運用を推奨しています。

GビズIDのアカウント及び認証情報は、申請事業者自身が適切に管理する必要があります。当事務所は、申請内容、入力事項及び操作手順の整理を支援します。

GビズIDについては、補助金導入を検討するなら必須レベルのGビズID作成もご参照ください。

5.申請書を作成し、ウェブフォームから提出する

公表内容を基に申請書の回答を準備し、DX推進ポータルのウェブフォームへ入力します。

現在の申請方式では、ウェブフォームへ入力した内容から申請書が作成されます。必要に応じて、補足資料や課題分析、情報セキュリティ関係資料等を添付します。

6.審査と不備対応

審査の過程で、記載内容や公表情報について不明点や不足がある場合、IPAから不備連絡が行われることがあります。

不備内容を確認し、公表ページ、申請内容又は補足資料を修正した上で再申請します。

新規申請は通年で受け付けられており、標準処理期間は60営業日です。実際の申請準備や不備対応も考慮すると、事業者の規模にもよりますが着手から認定までおおむね3~4か月程度を見込んで準備することを推奨します。

個人事業主も申請できます

DX認定は法人に限らず、個人事業主も対象です。

個人事業主については、通常は屋号で申請します。申請書類の審査を通過した後、営業実態を確認するため、確定申告書や、開業から1年未満の場合には開業届等の提出を求められることがあります。

ウェブサイト上の名称、GビズIDの登録情報、確定申告書等の屋号・氏名・所在地が整合しているかも事前に確認しておく必要があります。

認定の有効期間、更新申請及び変更届出

DX認定の有効期間は2年間です。

継続して認定を受ける場合は、認定後2年を経過する日の60日前までに更新申請を行う必要があります。

更新時には、前回申請からの取組状況や、公表内容の変更を確認します。

また、認定期間中に事業者名、屋号、代表者、所在地等が変更された場合は、変更届出が必要となることがあります。

認定取得後も、次の事項を継続的に管理することが重要です。

  • DX戦略と公表内容の更新
  • KPIの測定と見直し
  • 情報セキュリティ対策
  • 経営者による情報発信
  • GビズIDと申請担当者の管理
  • 更新期限の管理

DX認定申請でよく見られる課題

経営ビジョンとDX戦略がつながっていない

経営方針とデジタル施策が別々に記載され、デジタル技術がどのように経営課題を解決するのか分からないケースです。

システム導入の説明だけになっている

クラウドサービスや生成AIを導入する予定だけが記載され、業務やビジネスモデルをどのように変えるのかが示されていないケースです。

公表内容が不足している

申請書には詳しく記載しているものの、ウェブサイトには抽象的な方針しか掲載されておらず、公表要件を確認できないケースです。

KPIがDX戦略と対応していない

売上や利益だけを指標とし、DXによる業務変革やデータ活用の進捗を確認できないケースです。

組織・人材・ITシステムの説明が抽象的である

「人材を育成する」「必要なシステムを導入する」といった記載にとどまり、実施方法、担当者、時期等が示されていないケースです。

情報セキュリティ対策が形式的である

情報セキュリティ方針はあるものの、実際の管理体制、点検、教育、インシデント対応等との関係が整理されていないケースです。

DX認定では、文章量を増やすことよりも、経営方針、戦略、体制、取組及び指標の整合性を確保することが重要です。

行政書士によるDX認定申請支援

行政書士は、官公署へ提出する書類の作成、提出手続の代理及びこれらに関する相談を取り扱う専門職です。

DX認定では、経営者が決定した経営方針やDX戦略を、認定基準と申請様式に沿って整理し、公表内容と申請書の整合性を確保する必要があります。

アイアンバード行政書士事務所では、主に次の支援を行います。

  • DX認定制度の概要及び認定基準の説明
  • 現在の取組と公表情報の確認
  • 申請要件への適合状況の整理
  • 経営者及び担当者へのヒアリング
  • 経営方針、DX戦略、体制、KPI等の文書化
  • ウェブサイトで公表する文案の作成
  • 申請書の起案及び作成
  • DX推進ポータルによる申請手続の支援
  • IPAからの不備連絡への対応
  • 認定後の変更届出及び更新申請
  • 必要に応じたIT事業者その他の専門家との役割分担の整理

当事務所が一方的に経営方針を作成するのではなく、事業者へのヒアリングを通じて、実際の事業内容、経営課題及び実行可能性を確認しながら申請内容を整理します。

システムの設計・開発、ネットワーク設定、高度なサイバーセキュリティ対策等については、必要に応じてIT事業者等との連携が必要です。

また、税務判断については税理士、雇用関係助成金や労務管理については社会保険労務士、紛争性のある法律問題については弁護士等との役割分担を行います。

アイアンバード行政書士事務所のDXへの取組

アイアンバード行政書士事務所では、当事務所自身の経営方針、DX戦略、推進体制、ITシステム環境及びKPIを整理し、アイアンバード行政書士事務所のDX推進体制として公表しています。

行政手続、許認可、補助金、法令調査等の業務において、クラウドサービス、電子申請、電子契約、生成AI、業務管理ツール等を活用するとともに、業務データの蓄積・分析によるサービスの高度化を進めています。

アイアンバード行政書士事務所もDX認定を取得し、認定後の方針公表、KPI管理、情報セキュリティ対策及び継続的な業務改善に取り組んでいます。自ら申請準備、不備対応及び認定後の運用を経験しているからこそ、申請書の形式だけでなく、認定後の実行までを踏まえて支援します。

DX認定は、認定取得後がスタートです

DX認定を取得しただけで、業務効率化、売上向上又は新規事業の成功が実現するわけではありません。

認定申請を通じて整理した方針や計画を、実際の業務へ反映し、成果を確認しながら改善することが重要です。

DX認定を、

  • 自社の経営課題を整理する機会
  • デジタル活用の優先順位を決める機会
  • 社内の役割分担を明確にする機会
  • 情報セキュリティを見直す機会
  • 取引先や従業員へ方針を示す機会

として活用することで、認定取得を継続的な事業変革につなげることができます。

アイアンバード行政書士事務所では、認定を取得することだけを目的とせず、事業者が自社の経営方針とDXの取組を整理し、認定後も実行できる申請内容となるよう支援します。

DX認定の申請、更新、公表内容の整理についてお困りの場合は、お問い合わせください。

初回お問い合わせにおける無料対応は、相談内容の概要確認、有料相談又は有料調査のご案内までとなります。資料確認、個別具体的な判断、制度要件の確認、申請方針の整理、文案作成等を行う場合は、有償対応となります。

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