特定屋内広告物の規制

特定屋内広告物とは、窓の内側からポスターを張ったり、屋内から外向けにデジタルサイネージ等を置いたり、設置位置としては屋内にあるが、屋外に向けて掲出された広告物です。定義上は屋外広告物法の屋外広告物には当たりませんが、景観に影響を与えるという点では屋外広告物同様となりますので自治体によっては独自の条例や規則で規制される場合があります。以下に特定屋内広告物に関する一般的な状況を説明します。
1. 特定屋内広告物とは
特定屋内広告物は、建物の内部に設置された広告物で、窓ガラス越しに外部から視認できるものを指します。例として、商業施設の窓に貼られた広告ステッカーや、ショーウィンドウ内に設置された電子看板があります。
2. 一般的な規制内容
自治体による規制は異なりますが、以下のような規制が設けられることがあります。
(1)サイズや設置位置の制限
- 広告物が外部から見える場合、その面積や設置位置が規制されることがあります。
- 視界を遮りすぎないように、ガラス面積の一定割合以上を確保することが求められる場合があります。
(2)発光や明るさの制限
- 電子看板など発光する広告物については、周囲への光害を防ぐため、明るさや点滅の頻度が規制されることがあります。
(3)景観との調和
- 特定の景観計画区域内では、建物内部の広告物であっても、外部からの景観を損なわないデザインや色彩が求められる場合があります。
(4)安全確保
- 建物の内部であっても、風や振動などで破損し外部に飛散する恐れがある広告物については、強度や取り付け方法が規定されることがあります。
3. 規制の具体例
本記事執筆時の2025年1月時点で、特定屋内広告物の事前審査や届出が必要な地域として、少なくとも以下の市町村が確認されています。今後増加する可能性が十分考えられます。最寄りの市町村役所のページにて最新の情報を確認しておくのが望ましいです。
金沢市(石川県)
2022年7月1日より、まちなか区域において特定屋内広告物の規制が強化され、表示面積や色彩に関する基準が設けられています。表示面積が一定規模を超える場合、事前協議と届出が必要です。
流山市(千葉県)
2020年4月1日より、1壁面当たり3平方メートル以上の特定屋内広告物を表示する場合、表示の30日前までに届出が必要です。さらに、届出の30日前(表示の60日前)までに事前協議書の提出が求められます。
太宰府市(福岡県)
2017年4月より、広告物景観育成地区内で、建物の1立面につき5平方メートルを超える面積の特定屋内広告物を表示する場合、届出が必要です。表示面積や色彩に関する基準も定められています。
京都市(京都府)
建築物の窓等の開口部に設けられた窓ガラス等の内側に、常時または一定の期間継続して屋外の公衆に表示する広告物(特定屋内広告物)について、1立面における表示総面積が5平方メートルを超える場合、京都市長への届出が必要です。
大阪市(大阪府)
大阪市重点届出区域等(御堂筋、堺筋、四ツ橋筋、なにわ筋、土佐堀通、国道2号線、中之島)が該当します。
重点届出区域内の建築物の窓その他の開口部又は内部を見通すことができる壁面の内側の面に直接描き、又は貼付する方法により、広告物を常時又は一定の期間継続して屋外の公衆に表示する行為を行う場合、大阪都市景観条例15条(2)に基づく届出が必要となります。
ここに記載のない地域でも、重点地域で局所的に規制が上乗せされている場合がありますので注意が必要です。
まとめ
特定屋内広告物は、明確な全国統一規制が存在しないため、自治体ごとの規制を確認することが重要です。特に、景観計画区域や歴史的地域では、屋内広告物であっても外部景観への影響が重視される場合があります。設置前に必ず現地の条例や規則の確認が必要です。
当事務所では、看板広告の規制についての調査・手続きを行っております。新たな地域での支店立ち上げ等の際にお困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。
