植物工場・垂直農法は農地になる?農地法43条と農地転用を行政書士が解説

LED照明の下に栽培棚を何段も配置し、養液や温度、湿度などを制御しながら野菜を栽培する『垂直農法(Vertical Farming)』。

従来の田畑とは大きく異なる農業の形ですが、行政手続の観点から考えると、興味深い疑問があります。

『コンクリートの床の上に栽培棚を設置して野菜を育てる植物工場は、農地法上の「農地」なのでしょうか?』

結論からいうと、植物工場で農作物を生産しているからといって、その土地が当然に農地になるわけではありません。

一方、もともと農地である土地については、一定の要件を満たす施設であれば、土地をコンクリート等で覆っても通常の農地転用をせず、その土地について農地法の適用を維持できる制度があります。

それが、農地法第43条の『農作物栽培高度化施設』です。

農林水産省の運用通知では、農作物栽培高度化施設の用に供される土地について、その施設内で行われる農作物の栽培を『耕作』とみなし、農地法の全ての規定を適用すると整理されています。

また、農林水産省が示している届出様式では、『完全人工光型植物工場』『養液栽培』『栽培棚による土耕栽培』なども想定されています。

本記事では、植物工場・垂直農法と農地法の関係、農地法43条の仕組み、通常の農地転用との違い、企業が植物工場を計画する際に確認しておきたい事項について解説します。

※本記事は2026年9月6日時点の法令、農林水産省の通知その他の公表資料を基にした一般的な解説です。具体的な土地・施設については、その現況、施設構造、権利関係、農地区分、都市計画その他の条件によって取扱いが異なります。


1.農作物を育てていれば、その場所は『農地』になるのか?

まず重要なのが、

『農作物を生産していること』と『その土地が農地法上の農地であること』は別問題

という点です。

例えば、工業用地に建っている既存の倉庫に、LED照明、多段式栽培棚、水耕・養液栽培設備、空調設備、CO2管理設備、自動搬送設備などを導入し、レタス等を生産することが考えられます。

この場合、農作物を生産しているからといって、もともと農地ではない土地が、それだけで農地法上の農地になるわけではありません。

一方、もともと農地である土地に植物工場や水耕栽培施設を設置する場合は話が変わります。

施設の構造や土地の使い方によって、通常の農地として利用するのか、農地法43条の農作物栽培高度化施設として扱うのか、あるいは農地法4条・5条による農地転用を検討するのかが変わります。

つまり、『植物工場』という事業名称だけで農地法上の取扱いを判断することはできません。


2.植物工場と農地法の関係を整理すると?

大まかには、次のように整理できます。

ケース農地法上の主な考え方
既存の工場・倉庫等で植物工場を運営もともと非農地であれば、通常は農地法43条の問題ではない
農地としての状態を維持しながら施設園芸等を行う引き続き農地として利用
農地をコンクリート等で覆い、高度な栽培施設を設置農地法43条の対象となる可能性
農地を農地以外の施設用地として使用農地法4条・5条による農地転用を検討

ただし、

『植物工場だから農地転用が認められる』

『43条か農地転用か、有利な方を自由に選択できる』

という意味ではありません。

それぞれの制度に要件があり、その土地、施設、営農計画、事業スキームから適用関係を判断する必要があります。


3.農地法43条『農作物栽培高度化施設』とは?

農地法43条では、農作物栽培高度化施設の底面とするため、農地をコンクリートその他これに類するもので覆おうとする場合について、あらかじめ農業委員会へ届け出る制度が設けられています。

そして、その届出に係る施設で行われる農作物の栽培について、『耕作』に該当するものとみなして農地法を適用します。

農林水産省の運用通知でも、43条の届出に係る農作物栽培高度化施設の用に供される土地には『農地法の全ての規定が適用される』とされています。

ここは非常に重要です。

43条は、

『コンクリート床になった土地を新たに農地にする制度』

ではありません。

もともとの農地について、農業の効率化・高度化を目的として一定の施設を設けた場合にも、農地法の適用を維持するための制度です。

イメージすると、

農地

農地法43条の届出

底面をコンクリート等で覆う

農作物栽培高度化施設を設置

『引き続き農地法が適用される』

という仕組みになります。


4.なぜコンクリート床でも農地法の適用を維持できるのか?

高度な施設園芸や植物工場では、農作物を効率的に生産するため、作業用台車、自動搬送設備、ロボット、養液栽培設備、環境制御設備などを使用することがあります。

そのため、通常の土の地面よりも、平坦なコンクリート床等の方が農業生産上適している場合があります。

一方、農地を全面的にコンクリート等で覆えば、本来は農地転用との関係が問題になります。

そこで、農業の効率化・高度化のために必要となる施設について、一定の条件を満たせば農地法の適用を維持できる仕組みとして、農地法43条・44条の制度が設けられました。

この制度は2018年11月16日に施行されています。


5.完全人工光型植物工場も制度上想定されている

垂直農法との関係で特に興味深いのが、農林水産省が示している農地法43条の届出様式です。

施設の構造については、

『鉄骨ハウス』

『低コスト耐候性ハウス』

『鉄骨パイプハウス』

『完全人工光型植物工場』

などが例示されています。

また、営農計画書に記載する栽培方法についても、

『養液栽培』

『栽培棚による土耕栽培』

などが想定されています。

したがって、

『コンクリート床+LED照明+養液栽培+多段式栽培棚』

という現代的な植物工場・垂直農法についても、農地法43条の制度上想定されていることが分かります。

見た目だけを見ると『工場』に近い施設であっても、一定の条件を満たす場合には、その土地について農地法が引き続き適用されることがあります。


6.ただし『植物工場なら何でも43条』ではない

注意したいのは、農地法43条が植物工場一般を対象とした制度ではないことです。

農地法施行規則第88条の3では、農作物栽培高度化施設について複数の要件が定められています。

その基本となるのが、

『専ら農作物の栽培の用に供されるものであること』

という要件です。

農林水産省の運用通知でも、施設内に農作物の栽培と関連性のないスペースが広いなど、一般的な農業用ハウスと比較して適正なものとなっていない場合には、要件を満たさないと判断するとしています。

したがって例えば、

『巨大な物流施設の一角だけで野菜を栽培する』

という場合に、その建物や土地全体を43条の農作物栽培高度化施設用地として扱えるとは限りません。

『植物工場』という名称ではなく、施設構造と実際の利用方法が重要になります。


7.垂直農法では『多段栽培』と『多階建て』を分けて考える

『垂直農法』という言葉から、5階建て、10階建てといった高層建築物で農作物を生産するVertical Farmを想像することがあります。

しかし、農地法43条の農作物栽培高度化施設については、一定の場合に施設高さ等の具体的な基準があります。

農林水産大臣告示では、農地法施行規則第88条の3第2号イに係る施設について、

『高さ8メートル以内』

『軒の高さ6メートル以内』

『階数1』

という基準が定められています。

また、屋根または壁面を透過性のないもので覆う場合には、春分の日・秋分の日の午前8時から午後4時までの間に、周辺農地へおおむね2時間以上日影を生じさせないことも基準となっています。

農地法施行規則第八十八条の二第二項第四号及び第八十八条の三第二号イの農林水産大臣が定める施設の高さに関する基準:農林水産省

したがって、

『1階建て施設の内部に栽培棚を5段、10段と設置する』

ことと、

『5階建て、10階建ての建築物の各階で農作物を栽培する』

ことは、農地法43条上同じではありません。

『垂直』が栽培設備の多段化を意味するのか、建築物そのものの多層化を意味するのかを区別して考える必要があります。

高層型のVertical Farmを農地上に計画する場合には、43条とは別の土地利用スキームも含めて検討する必要があります。


8.周辺農地への影響も重要

農作物栽培高度化施設は、施設内部だけを見て判断されるものではありません。

周辺農地に係る営農条件へ支障を生じさせないことも重要です。

例えば、日影、雨水の流入、土砂の流出、排水などが周辺農地へ与える影響を確認する必要があります。

完全人工光型植物工場だからといって、『建物内部だけ確認すればよい』というわけではありません。

施設の配置や高さ、排水計画なども含めて土地全体を検討する必要があります。


9.43条は『届出』だが、提出すればすぐ着工できるわけではない

農地法43条の手続は『許可』ではなく『届出』です。

しかし、

『届出だから、農業委員会に書類を提出すればその日にコンクリート工事を始められる』

と考えるのは適切ではありません。

農業委員会は、届出について、施設が施行規則上の要件を満たしているか、必要事項が記載されているか、必要書類が添付されているか、必要となる農地法3条許可申請等が行われているかなどを確認し、受理または不受理を決定します。

農林水産省の運用では、『農業委員会において受理されるまでは届出の効力が発生しない』ことを届出者に説明し、受理通知書が交付されるまでは施設設置に係る行為へ着手しないよう指導することとされています。

ここで少し特殊なのが『効力発生日』です。

農林水産省の受理通知書様式では、届出が受理された場合の効力発生日について、

『届出書が到達した日』

とする取扱いが示されています。

つまり、『受理前には届出の効力は発生せず、受理通知前には着手しない』

一方で、『受理された場合には、届出書が農業委員会へ到達した日が効力発生日となる』

という制度運用となっています。

単純に『届出だから提出すれば終わり』という手続ではない点には注意が必要です。


10.営農計画も具体的に示す必要がある

農地法43条の届出では、『営農に関する計画』も重要になります。

農林水産省の様式では、例えば次のような事項を記載する仕組みとなっています。

  • 栽培する作物
  • 栽培方法
  • 栽培面積
  • 年間生産量
  • 年間販売量
  • 主な販売先
  • 年間の栽培計画
  • 施設設置に係る資金計画
  • 排水先

つまり、

『ここに植物工場を作ります』

と届け出るだけの制度ではありません。

施設規模と実際の農業生産計画との整合性が求められます。

43条は、

『農業施設という名称を付ければ農地に自由に建物を建てられる制度』

ではありません。

実態として農作物を継続的に生産する施設であることが前提です。


11.事務所や駐車場もすべて43条で処理できるわけではない

大型の植物工場では、栽培スペースのほか、管理事務所、従業員用駐車場、トラック待機場所、出荷スペース、商品保管場所、電気設備などを一体的に整備する場合があります。

しかし、これら全てが当然に43条の高度化施設用地になるわけではありません。

農林水産省は、事務所や駐車場等の附帯設備について、農作物の栽培に通常必要不可欠とはいえず、当該農地から独立して他用途への利用・取引の対象となり得る場合には、高度化施設用地として取り扱うことはできないとしています。

例えば、一つの植物工場プロジェクトでも次のように整理が分かれる可能性があります。

計画部分農地法上の検討例
植物工場本体農地法43条を検討
栽培に必要不可欠な設備・作業部分43条との一体性を検討
独立した事務所農地転用等を個別検討
独立した駐車場農地転用等を個別検討
一般的な物流倉庫農地転用その他の土地利用規制を検討

『植物工場の敷地だから全て43条』

とは限らないことが重要です。


12.太陽光発電設備を併設する場合にも注意

完全人工光型植物工場などでは多くの電力を使用するため、施設の屋根等に太陽光発電設備を設置する計画も考えられます。

ただし、『植物工場に電気を供給する設備だから、太陽光発電設備も当然に43条の対象になる』わけではありません。

農林水産省の運用では、農作物栽培高度化施設の屋根・壁面に太陽光発電設備を設置する場合について、売電の有無等に応じた具体的な要件が示されています。

『売電しない場合』には、発電した電力を農作物栽培高度化施設に設置された設備へ直接供給し、発電能力が当該施設の瞬間的な最大消費電力を超えないことなどが要件とされています。

『売電する場合』については、

『農業経営改善計画の認定を受けた者(認定農業者)』

または、

『青年等就農計画の認定を受けた者(認定新規就農者)』

が、その計画に位置付けられた農作物栽培高度化施設に設置することなどの要件が示されています。

また、農作物栽培高度化施設とは別に農地部分へ太陽光発電設備を設ける場合についても、農作物の栽培に通常必要不可欠とはいえず、高度化施設用地から独立して他用途への利用・取引の対象となり得る場合には、高度化施設用地として扱うことはできません。

したがって、

『植物工場+太陽光発電+蓄電池』

といった事業では、それぞれの設備について土地利用上の位置付けを整理する必要があります。


13.農作物を栽培しなくなったらどうなる?

農地法43条を利用するうえで、企業にとって特に重要なのが『事業撤退時』です。

43条では、その施設で農作物を栽培していることを前提として、農作物の栽培を『耕作』に該当するものとみなしています。

そこで農地法44条は、43条の届出に係る農作物栽培高度化施設において『農作物の栽培が行われていない場合』に、農業委員会が土地の所有者等に対し、相当の期限を定めて農作物の栽培を行うべきことを勧告できる制度を設けています。

ここでは、『法律そのもの』と『行政上の具体的な運用』を分けて理解する必要があります。

農林水産省の運用通知・届出様式では、

『営農計画上栽培すべき時期に農作物が栽培されていない場合』

に加えて、

『農作物を栽培する面積が営農計画書の記載から概ね2割以上縮小している場合』

についても、農作物の栽培が適正に行われていない状態として取扱いが示されています。

勧告に従わず、農作物を栽培しない状態が継続する場合には、農地法上の違反転用として原状回復命令等につながる可能性があります。

また、高度化施設を撤去して住宅・工場等を設置する場合や、施設内部を倉庫、飲食店、直売所等として使用する場合には、農地法4条・5条による農地転用の問題が生じます。

したがって、

『植物工場を撤退したので、そのまま物流倉庫として使う』

という用途変更を自由に行えるわけではありません。


14.土地を借りる場合は『撤退時』まで考える

企業が他人の農地を借りて植物工場を整備する場合には、施設を建設するときだけでなく、撤退時の契約設計も重要です。

農林水産省の運用では、農作物栽培高度化施設で農作物を栽培する者が撤退した場合の混乱を防ぐため、原状回復義務、費用負担、損害賠償、中途解約時の違約金等について契約上明確にしておくことが適当とされています。

植物工場は、

『コンクリート床』

『建築物』

『栽培棚』

『給排水設備』

『空調設備』

『電気設備』

など、大きな設備投資を伴う可能性があります。

そのため、『どう参入するか』だけでなく、『撤退するときに施設と農地をどうするか』まで事前に検討しておく必要があります。


15.一般企業が農地を利用する場合は『権利取得』も別問題

農地法43条は、

『農地に農作物栽培高度化施設を設置するための制度』

であって、

『一般企業が自由に農地を取得できるようにする制度』

ではありません。

高度化施設用地には農地法が引き続き適用されます。

したがって、企業が他人の農地を取得・賃借して植物工場を運営する場合には、土地の権利取得についても別途農地法上の検討が必要です。

現在の農地制度では、法人による農地所有については農地所有適格法人に関する要件が重要になります。

一方、一般法人についても、貸借による農業参入について一定の制度が設けられています。

つまり、

『植物工場を設置できるか』

と、

『その企業がその農地を所有・賃借できるか』

は別々に確認する必要があります。


16.既存の工場・倉庫で植物工場を行う場合は?

逆に、

『既存の工場や倉庫を改装して植物工場を運営する』

というケースでは、農地法43条が中心的な問題になるとは限りません。

もともとその土地が農地ではないからです。

この場合には、むしろ都市計画法、建築基準法、消防関係法令、建築物の用途、給排水、電気設備、自治体条例などの確認が重要になる場合があります。

つまり、同じ植物工場でも、

『農地上に新設する』

場合と、

『既存の工場・倉庫を利用する』

場合では、最初に確認すべき行政法令が大きく異なります。

『農業を行うこと』と『農地法上の農地を利用すること』は別の問題です。


17.スマート農業技術活用促進法による特例も確認したい

植物工場・垂直農法を検討する場合には、農地法43条だけでなく、『スマート農業技術活用促進法』との関係も確認しておきたいところです。

同法の認定を受けた生産方式革新実施計画に、農作物栽培高度化施設の底面とするため農地をコンクリート等で覆う措置が位置付けられている場合には、一定の条件の下で、農地法43条による届出があったものとみなす特例があります。

例えば、

『環境制御システム』

『自動搬送』

『ロボット』

『データを活用した栽培管理』

などのスマート農業技術と農作物栽培高度化施設を組み合わせる場合には、農地法43条だけでなく、スマート農業技術活用促進法による認定制度も確認する価値があります。

植物工場・垂直農法を『農地法だけの問題』として捉えないことも重要です。


18.農地法43条と通常の農地転用はどう違う?

両制度の違いを簡単に整理すると次のようになります。

項目農地法43条農地転用
制度の方向性農地法の適用を維持しながら高度な栽培施設を設置農地を農地以外の用途へ利用
主な手続農業委員会への届出農地法4条・5条の許可または届出
コンクリート床一定の施設基準を満たせば可能転用計画の中で検討
農作物の栽培継続が前提43条のような栽培継続制度ではない
施設構造43条固有の基準あり農地転用基準・他法令等から判断
農地法の適用引き続き適用適法に転用された土地は農地ではなくなる
その後の用途変更農地法上の制約が残る新用途について別途関係法令を確認

重要なのは、

『43条と農地転用のどちらか好きな方を選択すればよい』

わけではないことです。

43条には施設構造、周辺農地への影響、営農継続等の要件があります。

一方、農地転用についても、農地区分、農業振興地域との関係、立地基準、一般基準などを確認する必要があります。

その土地と事業計画から、どの制度が適用されるのかを検討する必要があります。


19.農地法43条だけ確認すれば植物工場を建設できるわけではない

植物工場は『農業施設』であると同時に、

『建築物』

『大型設備』

『事業用地』

でもあります。

農地法施行規則では、農作物栽培高度化施設の設置について他の行政庁の許可、認可、承認等を要する場合、それらを受けていること、または受ける見込みがあることを示す書面等も問題になります。

ここで確認すべき法令は、農地法だけとは限りません。

例えば、

『農地法』

『農業振興地域制度』

『都市計画法』

『建築基準法』

『消防関係法令』

『造成・盛土関係』

『給排水』

『電気設備』

『自治体独自の条例等』

といった制度を横断して確認する必要があります。

実際にどの法令・手続が必要になるかは、施設の構造、立地、規模、設備内容等によって異なります。

完全人工光型植物工場については、農業施設でありながら建築・電気・空調設備の比重も大きいため、『通常の農業用ハウス』だけをイメージして計画を進めることには注意が必要です。

農地法施行規則の現行条文については、次のe-Gov法令検索から確認できます。

農地法施行規則|e-Gov法令検索


20.植物工場・垂直農法を計画する前に確認したいこと

候補地を選定する段階では、少なくとも『土地』『施設』『営農』『周辺環境』『事業スキーム』の5つの観点から整理しておきたいところです。

確認する観点 主な確認事項 確認のポイント
土地 ・現在農地なのか
・農用地区域内なのか
・都市計画上の区域区分・用途地域
・所有か賃借か
農地法43条を検討できる土地なのか、農地転用その他の土地利用手続が必要なのかを整理します。農業振興地域制度や都市計画上の規制についても併せて確認します。
施設 ・完全人工光型・太陽光利用型の別
・底面をコンクリート等で覆うか
・建物の高さ・軒高・階数
・栽培棚の段数
・施設面積
農地法43条の『農作物栽培高度化施設』に該当する可能性があるかを確認します。特に、栽培棚の多段化と建築物そのものの多階建ては分けて検討する必要があります。
営農 ・栽培する農作物
・栽培方法
・栽培面積
・年間生産量・年間販売量
・主な販売先
・年間栽培計画
農地法43条では、単に施設を設置するだけでなく、実際に農作物を継続して栽培する営農計画が重要になります。施設規模と生産計画との整合性も確認します。
周辺環境 ・周辺農地への日影
・雨水・排水
・土砂流出等の影響
・搬出入経路
・接道状況
施設の設置によって周辺農地の営農条件へ支障を生じさせないかを確認します。大型施設の場合は、車両動線や接道、排水計画も重要になります。
事業スキーム ・土地所有者
・農業を行う主体
・施設所有者
・資金調達
・事業期間
・撤退時の施設撤去・原状回復
『誰が農地を利用し、誰が施設を所有・運営するのか』を整理します。賃借による企業参入の場合には、農地の権利取得や撤退時の原状回復についてもあらかじめ検討することが重要です。


まとめ|コンクリート床の植物工場でも農地法が適用される場合がある

植物工場・垂直農法について、

『野菜を作っているから農地』とも、『コンクリート床だから農地ではない』とも、一律には判断できません。

農地法43条では、もともとの農地を農作物栽培高度化施設の底面とするためにコンクリート等で覆う場合でも、一定の要件を満たして届出を行うことにより、そこで行われる農作物の栽培を『耕作』とみなし、その土地について農地法を適用する仕組みが設けられています。

完全人工光型植物工場、養液栽培、多段式栽培棚についても制度上想定されています。

一方で、施設構造、高さ・階数、周辺農地への日影や排水等の影響、営農計画、土地の権利関係、事務所・駐車場等の附帯施設、太陽光発電設備、事業撤退後の対応などについても確認が必要です。

特に企業が植物工場・垂直農法へ新規参入する場合には、

『土地を契約する

施設を設計する

最後に農地法を確認する』

のではなく、

『候補地選定

土地・行政法令調査

事業スキーム整理

施設計画

関係行政機関との確認

行政手続』

という順序で検討することが重要です。


植物工場・垂直農法・農地活用に関する法令調査のご相談

アイアンバード行政書士事務所では、植物工場・垂直農法・スマート農業などの事業について、農地法をはじめとする行政法令・行政手続の調査についてご相談いただけます。

例えば、

  • 農地に植物工場を設置できるか確認したい
  • 農地法43条の対象となる施設か調べたい
  • 農地法43条と農地転用のどちらが問題になるか整理したい
  • 一般企業として農業参入を検討している
  • 完全人工光型植物工場の候補地を調査したい
  • 農地を購入・賃借する前に法令上の実現可能性を確認したい
  • 太陽光発電設備や蓄電池を組み合わせた植物工場を検討している
  • スマート農業技術活用促進法を含めて利用できる制度を確認したい
  • 植物工場に関係する行政手続を横断的に整理したい

といった『事業構想・候補地選定の段階』からご相談いただけます。

植物工場のように大きな設備投資を伴う可能性がある事業では、土地契約や設計を進めた後になって行政法令上の制約が判明すると、事業計画そのものに大きな影響が生じることがあります。

そのため、できるだけ早い段階で、

『その土地で、その施設、その事業を実現できるのか』

を確認することが重要です。


主な参考資料

本記事では、2026年9月6日時点で確認した農林水産省・e-Gov等の一次資料を主に参考としています。

農地法|e-Gov法令検索

農地法43条・44条を含む現行法令を確認できます。

農地法|e-Gov法令検索

農地法施行規則|e-Gov法令検索

農作物栽培高度化施設については、第88条の2・第88条の3等が重要です。

農地法施行規則|e-Gov法令検索

農地法等の三段表・農地制度関係通知|農林水産省

農地法三段表、処理基準、事務処理要領、農地法43条・44条の運用通知等への総合入口です。個別PDFのURLが変更された場合にも、ここから最新資料を確認できます。

農地法等の三段表・農地制度関係通知|農林水産省

農地法第43条及び第44条の運用について|農林水産省

農作物栽培高度化施設の基準、完全人工光型植物工場、届出、営農計画、附帯設備、撤退時の取扱い等を確認するうえで重要な資料です。

農地法第43条及び第44条の運用について|農林水産省

農作物栽培高度化施設の高さに関する基準|農林水産省

施設の高さ、軒高、階数、日影に関する基準を確認できます。

農作物栽培高度化施設の高さに関する基準|農林水産省

法人の農地取得|農林水産省

農地所有適格法人や一般法人による農業参入を確認するための公式ページです。

法人の農地取得|農林水産省

農業参入ポータル|農林水産省

企業による農業参入、農地の所有・貸借、参入までの流れなどを確認できます。

農業参入ポータル|農林水産省

スマート農業技術活用促進法について|農林水産省

生産方式革新実施計画やスマート農業技術の導入に関する制度、関連する行政手続の特例等を確認できます。

スマート農業技術活用促進法について|農林水産省


お問い合わせ

    LINE でもお問い合わせ可能です。https://lin.ee/xPoGi3d
    初回お問い合わせにおける無料対応は、相談内容の概要確認、有料相談又は有料調査のご案内までとなります。面談前であっても、資料確認、個別具体的な判断、法令・制度上の確認、見積前提の整理、文案作成等を行う場合は、有償対応となります。
    当事務所への営業目的の場合は事務手数料22,000円(税込)を事前にいただいてからご対応させていただきます。

    是非フォローください!