DX・AI導入を制度活用から進める方法
目次
補助金・DX認定・法令対応を事業成長につなげる
生成AI、クラウドサービス、業務管理システム等を活用し、業務の効率化や新たなサービスの開発に取り組む事業者が増えています。
一方、実際に導入を検討すると、次のような課題が生じます。
- どの業務からデジタル化すればよいか分からない
- AIを導入したいが、個人情報や秘密情報の取扱いが心配
- 利用できる補助金や認定制度を知りたい
- システムを導入しても、社内で定着するか不安
- IT事業者へ依頼する内容を整理できていない
DX・AI導入は、新しいツールを購入又は契約すること自体が目的ではありません。
自社の経営課題と業務プロセスを整理し、必要な機能、取り扱う情報、関係法令、社内の運用体制を確認した上で、利用できる補助金や認定制度を組み合わせることが重要です。
アイアンバード行政書士事務所では、行政制度、認定制度、許認可・届出、法令調査等の知見を生かし、事業者ごとの状況に応じたDX・AI導入の進め方を整理します。
当事務所自身の経営方針、DX戦略、推進体制及び成果指標については、アイアンバード行政書士事務所のDX推進体制で公表しています。
DX・AI導入は、ツール選びから始めない
DXは、紙の書類をPDFにしたり、既存の業務をオンライン化したりすることだけを意味するものではありません。
データとデジタル技術を活用して、商品、サービス、業務プロセス、組織体制、顧客との関係等を見直し、企業価値や事業上の成果につなげる取組です。
経済産業省の「デジタルガバナンス・コード3.0」でも、DX経営は、経営ビジョン、DX戦略、組織・人材、ITシステム・サイバーセキュリティ、成果指標及びステークホルダーとの対話を一体として進める枠組みとして整理されています。
詳しくは、「デジタルガバナンス・コード3.0」とは?企業価値向上への重要ポイントでも解説しています。
DX・AI導入を進める6つの段階
1.経営課題と導入目的を整理する
最初に、何を改善するための導入なのかを明確にします。
例えば、次のような目的が考えられます。
- 書類作成や入力作業の時間を短縮する
- 問い合わせ対応を効率化する
- 顧客情報や案件情報を一元管理する
- 特定の担当者に依存している業務を見直す
- データに基づいて経営判断を行う
- 新たな商品やサービスを開発する
すべての業務を一度に変更するのではなく、期待できる効果、導入費用、社内の対応力等を踏まえて優先順位を付けます。
2.現在の業務プロセスを可視化する
受付、入力、確認、承認、顧客への連絡、保管等の流れを整理します。
業務プロセスを見直さずにシステムを導入すると、既存の重複作業や過剰な確認手続が、そのままシステム上に移されることがあります。
次のような作業がないかを確認します。
- 同じ情報を複数の書類やシステムへ入力している
- 紙、メール、表計算ソフトに情報が分散している
- 不要な承認や確認が繰り返されている
- 手作業による転記が発生している
- 特定の担当者しか処理方法を把握していない
システムの選定前に、業務そのものを簡素化できないかを検討することが重要です。
3.取り扱う情報を分類する
生成AIやクラウドサービスを利用する場合は、入力又は保存する情報を分類します。
特に注意が必要なのは、次のような情報です。
- 顧客、従業員及び取引先の個人情報
- 要配慮個人情報
- マイナンバーを含む情報
- 契約上の秘密情報
- 顧客名簿、原価、技術情報等の営業秘密
- 未公表の経営計画
- 許認可申請前の事業計画
- 取引先から預かった資料
個人情報取扱事業者が、個人情報を含むプロンプトを生成AIサービスへ入力する場合は、あらかじめ特定した利用目的を達成するために必要な範囲内であるかを確認する必要があります。
また、本人の同意を得ずに個人データを入力し、その個人データが回答の生成以外の目的で取り扱われる場合には、個人情報保護法に違反する可能性があります。そのため、サービスの利用規約や設定を確認し、入力した個人データが機械学習等に利用されないことを十分に確認する必要があります。
当事務所の情報管理に関する基本方針は、プライバシーポリシー・情報セキュリティ方針で公表しています。
4.関係法令、契約及び社内ルールを確認する
2025年6月4日、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」、いわゆるAI法が公布・一部施行され、同年9月1日に全面施行されました。
AI法は、AIの研究開発・活用の推進、リスクへの対応、人工知能基本計画の策定等に関する基本的な枠組みを定める法律です。一般の事業者が生成AI等を業務で利用することについて、一律の許可又は登録を求める制度ではありません。
2026年7月14日には、人工知能基本計画の第Ⅱ期が閣議決定されました。また、同年3月31日に取りまとめられた「AI事業者ガイドライン第1.2版」では、AIを開発・提供する事業者だけでなく、事業活動でAIを利用する事業者についても、リスクに応じた管理、セキュリティ、透明性、AIリテラシー等の考え方が示されています。
実際の利用に当たっては、AI法だけではなく、利用する業務や情報に応じて、次の法令・契約等を確認します。
- 個人情報保護法
- 著作権法その他の知的財産関係法令
- 不正競争防止法
- 業種ごとの業法及び許認可基準
- 取引先との秘密保持契約
- 委託契約
- AI・クラウドサービスの利用規約
- 広告表示や顧客説明に関係する法令
生成AIで作成した文章、画像等を広告、商品、ウェブサイト又は営業資料に使用する場合は、既存の著作物、商標、人物の肖像等との関係も確認する必要があります。
「AIが生成したものであるから自由に利用できる」と一律に判断することはできません。
5.必要な仕組みを決めた後に制度を選ぶ
導入する機能、費用、スケジュール及び運用担当者を整理した後、利用可能な補助金、認定制度、自治体の支援制度等を確認します。
適切な順序は、次のとおりです。
経営課題の整理
→業務プロセスの見直し
→必要な機能の特定
→導入するシステムの選定
→利用できる制度の確認
補助金を先に探し、補助対象になるという理由だけで不要なシステムを導入すると、補助事業終了後に利用されなくなる可能性があります。
補助金制度に対する当事務所の基本的な考え方は、当事務所での補助金制度の考え方をご覧ください。
6.利用ルールと成果指標を定める
システムやAIサービスの稼働開始は、DXのゴールではありません。
生成AIを業務で利用する場合は、少なくとも次の事項を整理します。
- 利用できるAIサービス
- AIを利用できる業務
- 入力してよい情報と入力してはいけない情報
- 出力内容を確認する担当者
- 外部へ公表する前の確認方法
- 誤情報や情報漏えいが発生した場合の報告手順
- 利用履歴及びログの管理
- 従業員への教育
また、導入後の成果を確認できるよう、作業時間、処理件数、入力ミス、回答時間、利用率、売上、顧客満足度等の指標を設定します。
想定した効果が得られていない場合は、システムを入れ替える前に、業務フロー、入力ルール、担当者教育及び運用方法を見直します。
デジタル化・AI導入補助金を利用する場合
2026年度のデジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性向上を目的として、AIを含むITツールの導入を支援する制度です。令和7年度補正予算事業から、従来のIT導入補助金から名称が変更されました。
通常枠等では、事務局に登録されたIT導入支援事業者及びITツールを選定し、申請者とIT導入支援事業者が申請内容を作成します。
また、2026年度は、すべての申請枠・類型について、GビズIDプライムの取得と、SECURITY ACTIONの一つ星又は二つ星の宣言が交付申請の要件とされています。
ITツールの契約、発注、導入及び支払は、原則として交付決定後に行う必要があります。交付決定前に契約、発注、納品又は支払を行った場合は、補助対象となりません。
制度の詳細は、次の記事をご参照ください。
GビズIDのアカウント及び認証情報は、申請事業者自身が適切に管理する必要があります。当事務所は、申請内容、入力事項及び操作手順の整理を支援します。
当事務所は、IT導入支援事業者に代わってITツールを販売又は提供するものではありません。事業内容、導入目的、行政制度、必要書類、許認可・行政手続等を整理し、IT事業者との役割分担を支援します。
DX認定制度を活用して経営方針を整理する
DX認定制度は、デジタルガバナンス・コードに対応し、DXを推進するための準備が整っている事業者を国が認定する制度です。
DX認定では、経営ビジョン、DX戦略、推進体制、人材、ITシステム、サイバーセキュリティ、成果指標及び経営者による情報発信等を整理します。
認定は、導入したシステムの性能や、DXによる事業成果を国が保証するものではありません。認定申請を、自社の経営方針とデジタル施策を結び付ける機会として活用することが重要です。
申請要件、公表事項、申請方法及び更新手続については、【2026年版】DX認定制度とは?申請要件・メリットと行政書士による申請支援をご覧ください。
IoT機器を導入する場合は製品側の安全性も確認する
DXでは、生成AIやクラウドサービスだけでなく、ネットワークカメラ、センサー、デジタルサイネージ、蓄電池、業務用端末等を導入する場合があります。
これらの機器がインターネットや社内ネットワークへ接続される場合は、利用者側の情報管理だけでなく、製品自体のセキュリティ機能、アップデート体制及びサポート期間も確認する必要があります。
JC-STARは、IoT製品が所定のセキュリティ要件に適合していることを可視化するラベリング制度です。★1及び★2はIoT製品ベンダーによる自己適合宣言、★3及び★4は第三者評価機関による評価・認証に基づいてラベルが付与されます。
ただし、適合ラベルは定められた基準への適合を示すものであり、あらゆる攻撃に対する完全なセキュリティを保証するものではありません。
詳しくは、次の記事をご参照ください。
アイアンバード行政書士事務所の支援内容
当事務所では、DX・AI導入に関して、主に次の事項を支援します。
- 国、地方自治体等の支援制度の調査
- 補助金、認定制度等の利用可能性の整理
- DX認定その他の官公署提出書類の作成・申請支援
- GビズID等の電子申請に必要な事前準備と導入支援
- 関係する許認可、登録、認定及び届出の確認
- 行政手続を含む業務プロセスの整理
- 経営方針、DX戦略、公表文案及びKPIの整理
- AI利用方針、確認手順等の文書化支援
- IT事業者及び他士業との役割分担の整理
- 必要に応じた制度改正情報及び行政情報の提供
行政書士は、官公署提出書類の作成・提出手続及びこれらに関する相談のほか、契約書や社内外の規程文書等の作成、事業関連法令の側面からの企業支援を行います。ただし、他の法律により制限されている業務を取り扱うことはできません。
システムの開発、ネットワーク構築及び技術的なサイバーセキュリティ対策については、IT事業者等と連携します。
また、税務申告その他の税理士業務については税理士、雇用関係助成金及び労務管理については社会保険労務士、紛争性のある案件や、弁護士法その他の法令により他の専門職の業務とされている事項については、弁護士等と役割を分担します。
制度改正や行政情報に関する継続的な調査・提供については、別途、伴走支援又は顧問契約により対応します。
制度利用が目的なのではなく、事業上の成果を目的とする
補助金やDX認定は、DX・AI導入を進めるための有効な手段です。
しかし、補助金の採択、認定の取得又はシステムの導入自体が、事業の成長を保証するものではありません。
重要なのは、制度を活用しながら、
- 業務負担を軽減する
- 顧客へのサービスを改善する
- 情報管理上のリスクを抑える
- 経営判断に必要なデータを蓄積する
- 新たな商品やサービスにつなげる
- 継続的に改善できる体制を整える
これらを推進していくことです。
アイアンバード行政書士事務所では、法令制度を単なる規制として捉えるのではなく、事業を安全かつ継続的に成長させるための仕組みとして整理します。
DX認定、デジタル化・AI導入補助金、許認可・法令対応、行政手続を含む業務プロセスの見直し等について、事業者ごとの状況に応じた支援方針をご提案します。
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- アイアンバード行政書士事務所のDX推進体制
- DX認定制度の申請要件・メリットと申請支援
- デジタルガバナンス・コード3.0とは?
- 2026年度デジタル化・AI導入補助金
- 当事務所での補助金制度の考え方
- GビズIDプライムの取得
- SECURITY ACTION自己宣言
- JC-STAR制度
- DX・AI活用、情報セキュリティの記事一覧
本記事は、2026年7月17日時点の法令、ガイドライン及び制度情報に基づいて作成しています。補助金の対象者、対象経費、公募期間、申請方法その他の要件は、公募回や申請枠によって異なります。AI及びクラウドサービスの利用に関する取扱いは、利用目的、入力する情報、業種、契約内容等によって異なるため、個別に確認する必要があります。

