不動産の賃貸、売買、譲渡、相続の際に看板が既に設置されていた場合のお手続き
不動産の賃貸、売買、譲渡、相続の際に看板が既に設置されていた場合、行政へお手続きが必要なる場合がございます。今回は、そのような場合のお手続きについて解説します。
目次
小さな看板等の場合
各地域の条例で定められている一定面積以下の看板の場合は、特に手続きは必要ありません。
ただし、建物に既に他のテナントが入っている場合、合算して一定面積以上となった場合は屋外広告物設置許可申請が必要となる場合がございます。市町村又は都道府県の屋外広告物条例を確認する必要があります。
なお、手続きが不要な場合であっても、不具合がないかどうかの点検や修理は必要です。
建物全体で屋外広告物が多数設置されている場合
条例によっては、一つの屋外広告物当たりの面積が一定以下の場合は手続きが不要な場合もありますが、地域によっては建物合算で一定面積以上となる場合は、屋外広告物設置許可が必要となっていたり、許可要件を超えるような一定以上の面積の屋外広告物は違法となります。
地域や物件によっては、屋外広告物の設置を断念せざるを得ない場合もないとは言い切れません。
看板の内容を変えたい場合
意匠変更(屋外広告物の構造自体は変えずに広告の内容のみを変更する場合)と構造変更(通常の看板をデジタルサイネージ化する等、ガワごと一気にかえてしまう場合)で手続きが異なります。
意匠変更のみの場合
単に意匠変更のみの場合は、新しい意匠が地域の景観ガイドラインに沿っているか事前確認が必要となる場合があります。特に景観に関する規制が厳しくなっている地域は、行政へ事前相談を行っておくべきでしょう。なお、意匠変更について申請や届出といった行政手続きが特に不要な場合があります。
構造変更を伴う場合
屋外広告物変更申請が必要となります。手続きの流れは事実上屋外広告物設置の新規設置と同様の流れになります。
屋外広告物の設置者又は設置者と管理者の両方が変更となった場合
屋外広告物設置に関する申請の都合上、設置者と管理者という概念があります。
設置者と管理者の違いについては、下記の記事をご確認ください。
物件の売買、賃貸、譲渡、相続といった場合に設置者が変更となる場合がございます。
例えば屋外広告物設置許可を過去に受けている物件の設置者と管理者が同じ人物で、看板が設置されている建物ごと全部売却、といった場合や、看板の設置者がビルの借主で、賃貸契約解消と共にビルオーナーが設置者といった際に、設置者変更と共にお抱えの点検業者もビルオーナーのお抱えの天元業者に変更する場合は、設置者の変更届と管理者の変更届が同時に必要となります。
突き出し看板の設置者が変更となる場合
先述のような売買賃貸譲渡相続等の理由で権利移転が生じる場合、その屋外広告物が突き出し看板の場合で、かつ、敷地外に空中ではみ出ていた場合は、屋外広告物の手続きに加えて道路占用許可の変更のお手続きが必要となります。
道路占用変更届(占用主体そのものに変更はないが、情報に変更がある場合)
- 代表取締役の名前が変わった
- 会社の住所や名前が変わった
道路占用権利義務承継許可申請書(売買、譲渡等で権利義務が移転した場合)
- 建物に看板がついたまま売買されることとなった。
- 看板の占用者として登録していた先代がなくなったので相続が発生した。
現在突出看板を設置しているが、新しい看板に取り替えたい場合
この場合は、新たに突出看板を設置するのと同じ手続きが必要となります。
看板が不要なので、撤去したい
この場合の撤去とは、広告部分のみを空白にするのではなく、土台ごと根こそぎ撤去することを指します。
既存の広告内容を空白にして、土台が残っている場合は屋外広告物の撤去には当たりません。
看板を根こそぎ撤去する前に、変更申請を行い、許可後に撤去工事を行う必要があります。
その後、道路占用返還届を提出し、屋外広告物撤去届も提出することとなります。
まとめ
新規で看板を設置する場合だけでなく、設置後にもお手続きの機会がございます。
屋外広告物の手続きでお困りの際は、お気軽に当事務所にご相談ください。