道路空間の活用に関する主な制度のご紹介
歩きたくなる道ってあると思います。今回はそんなニーズを後押しするみちを活用できる制度の紹介の記事となります。
目次
道路空間の活用に関する主な制度
道路空間の活用に関する制度がいくつかございます。
- 歩行者利便増進道路(ほこみち)制度
- 国家戦略特区区域開発における国家戦略道路占用事業
- 中心市街地活性化基本計画
- 都市再生特別措置法の特例制度
- 道路協力団体管理制度
歩行者利便増進道路(ほこみち)制度
「ほこみち」制度は、日本全国で約420の自治体が特例を導入し、実施は約240カ所に上っています。この制度は、歩道上に飲食店のテラス席やキッチンカー、休憩施設、オープンカフェなどを設置することを可能にし、歩道の柔軟な利活用を推進しています。具体的な導入例としては、大阪市の御堂筋、神戸市の三宮中央通り、姫路市の大手前通りなどがあります。これらの地域では、新たに「ほこみち」の指定を受け、歩道空間を活性化させる取り組みが進められています。このように、「ほこみち」制度は、道路からまちを変える新たな取り組みとして全国で広がっています。ただし、具体的な導入状況は地域や時期により変動する可能性があるため、最新の情報は各地方整備局等の窓口や国土交通省の公式ウェブサイトでご確認いただくことをおすすめします
ひらたくいえば、道路管理者(国・都道府県・市町村)が主体の『歩きたくなる道』を作る制度です。
道路管理者が歩行者利便増進道路を指定し、利便増進誘導区域を設けることにより、オープンカフェや露店等の設置にかかる道路占用許可基準を緩和し、街づくりを後押しします。
良好な景観を形成したり風致の維持に寄与するものについて、下記に挙げられるもののが設置しやすくなります。
- 広告塔や看板
- 標識、旗ざお、幕、アーチ
- ベンチ、街灯等
- 食事施設、ショッピング施設等
- レンタサイクル事業で使用する自転車駐車器具
- 催し物の際の露店等
制度導入については、道路管理者(国・都道府県・市町村)が市町村長、公安委員会や警察署長といった警察関係者との協議が必要となります。間に公募占用手続きが入り、事業者を公募する場合もあります。
まだまだ導入事例が多いとは言えず、これから増加していくものと思われ非常に期待しております。
ほこみち制度を導入したい場合は、
道路を管理している自治体(地方整備局)に働きかけて、ほこみち指定を目指す形となります。
商店街・町内会等の地域の団体の方に是非ご周知したい、そんな制度です。
ほこみちプロジェクト | 一本の道を変えて、まちを変える (hokomichi.jp)
国家戦略特区区域開発における国家戦略道路占用事業
国家戦略特区区域計画は、国家戦略特別区域における産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に関する目標を達成するために作成されます。この区域計画は、国・地方公共団体・民間の三者から組織される国家戦略特別区域会議において協議・作成されます。
具体的には、以下の手順で策定されます。
- 事業者を公募し、必要に応じて専門家や関係省庁も交えた各区域の分科会を開催
- 国、自治体、及び公募事業者で構成する区域会議が区域計画案を策定
- 特区諮問会議がその区域計画案について審議し、内閣総理大臣が認定
ひらたくいえば、国レベルのお墨付きまでももらった大掛かりな計画となります。
計画を立案している地方自治体単位の数としては20にも満たない具合ですが、東京圏、関西圏といった広域での取り組みの中に複数の事例がございます。国家戦略道路占用事業以外にも、大規模な研究施設や大きな駅の近くの商業観光施設、農業・商業・工業を横断するような事業等、大掛かりなものも多いですが、中には広島県・愛媛県でのNPO法人の設立を促進するための期間短縮支援等、一見地味に見える支援等もあったりします。
中心市街地活性化基本計画
中心市街地活性化基本計画(以下、「基本計画」)は、地方都市の中心市街地の活性化を目的とした政策の一環として策定されています。この計画は、内閣府や国土交通省を中心に推進され、地方自治体との連携を強化することで、地域経済の振興や住民の生活の質の向上を図ることを目的としています。市町村が計画を作成し、内閣総理大臣がその認定を行います。
別の記事にまとめましたので、そちらをご覧ください。
中心市街地活性化基本計画 | アイアンバード行政書士事務所 (ironbird.jp)
都市再生特別措置法に基づく特例制度
都市再生特別措置法に基づく都市再生整備計画を策定し、その区域内で道路占用できるという制度を活用をする手もあります。
都市再生整備計画は、「都市再生特別措置法」や「まち・ひと・しごと創生法」などの法律に基づいて、地域の活性化や都市の魅力向上を目的とする重要な施策です。この計画は、地域の特性や課題に応じた具体的な整備方針を策定し、公共インフラの整備や地域経済の振興を図るものです。道路占用許可の特例だけでなく、河川敷地占用許可制度、都市公園占用許可の特例も活用が検討できます。
道路のみならず、河川や公園も計画次第では活用ができる、ということになります。
内閣府や国土交通省が主導するこの計画の概要を、以下にまとめます。計画には、以下のような具体的な施策が含まれます。
- 公共インフラの整備:道路、公園、公共施設などの整備を通じて、安全で快適な生活環境を提供します。
- 地域経済の振興:商業施設の誘致や観光資源の開発を通じて、地域の経済活動を活性化します。
- 防災対策:災害に強いまちづくりを推進し、住民の安全を確保します。
具体的な事例として、各地での都市再生プロジェクトが挙げられます。例えば、旧市街地の再開発や、駅周辺の再整備などがあり、これらは地域の経済活性化や住民の生活の質向上に寄与しています。
都市再生整備計画は、地域のニーズに応じた持続可能なまちづくりを推進するため、今後も重要な役割を果たすと期待されています。特に、デジタル技術の活用や、グリーンインフラの導入などが今後の課題となります。
都市再生特別措置法に基づく都市再生法人については、別の記事にまとめてありますので、そちらをご覧ください。
都市再生特別措置法に基づく都市再生法人 | アイアンバード行政書士事務所 (ironbird.jp)
道路協力団体制度
道路管理者と連携して業務を行う団体として、平成28年に創設された比較的新しい制度です。令和4年時点でまだ全国で54件しか存在せず、まだあまり認知されていないものと思われます。
道路協力団体に指定されると、活動のために必要な道路占用が柔軟に行えるようになるため、オープンカフェや物販施設等で道路における収益活動が行いやすくなります。
役割
- 道路に関する工事又は維持
- 安全円滑な交通の確保や利便増進のための施設の設置・管理
- 道路の管理に関する情報収集と提供
- 道路管理に関する調査研究
- 道路管理に関する知識の普及啓発
必ずしもこれら全てを行う必要はありませんが、地域によっては運用上のルールが設けられている場合がございます。
なるための条件
道路管理者への申請が必要です。道路によって国、都道府県、市町村と申請先が異なります。
申請に当たり業務を適切かつ確実に行うことができるか否か、主に資格、実績、計画の観点で審査されることとなります。
注意点
- 概ね5年の活動実績が必要です。ただし、道路管理者と協定等を締結して活動してきた実績がある場合等、一定の要件を満たせば2年間に短縮される場合があります。
- 道路協力団体として業務を行おうとする区間が活動実績のある区間と重複している必要があります。
- 代表者、事務所の所在地、構成員の資格、代表者の選任方法、総会の運営、会計に関する事項等、組織としての体裁が整っているかどうかも重要です。
- 役員を含む構成員が5名以上
- 指定を受けた場合に、道路協力団体としての活動以外では道路協力団体と称して活動を行わない誓約が必要。
まとめ
良好な景観をつくり維持向上していくには、大きな力が必要となります。商店街や町内会等の地域の団体の方で、まちづくりを支援する専門家をお探しの際は、是非当事務所までご相談ください。