デジタルサイネージ設置の際に注意しておくべき法制度等

近年、デジタルサイネージが注目されてきております。データを入れ替えることによってすぐに広告内容を変えることができ、静止画のみならず動画も流すことができます。

しかしながら、デジタルサイネージの設置運用には複数の法令が関係してきます。
今回はデジタルサイネージを設置する際の注意点についてご紹介します。

注意点

設置場所によっては、屋外広告物となりうる

下記の4条件をすべて満たすものは『屋外広告物』に該当します。
表示内容の営利性・非営利性を問いません。

  1. 常時又は一定の期間継続して表示されるものであること。
  2. 屋外で表示されるものであること。
  3. 公衆に表示されるものであること。
  4. 看板、立看板、はり紙、はり札、広告塔、広告板建物その他の工作物等に掲出・表示されたもの、これらに類するものであること。

デジタルサイネージもまた、屋外で不特定多数の者に表示される場合は屋外広告物に該当します。
一定の大きさ以上の場合は、屋外広告物許可申請が必要となってきます。

電気を使用する観点での安全性の担保

電気を使用する以上、電気用品安全法 に準拠した製品であることが求められます。
また電飾看板やデジタルサイネージは、『広告灯』に分類されます。
b298.pdf (meti.go.jp)

なお、施工業者においては、各種業法の許可申請が必要となってきます。

コンテンツの内容

公序良俗に反しないようにという点はいうまでもなく、他者の知的財産権を侵害していないかという点も考慮しておく必要があります。

地域毎のデジタルサイネージ特有のガイドライン

地方自治体によっては、デジタルサイネージのガイドラインが作成されたり、デジタルサイネージの登場を踏まえて屋外広告物ガイドラインが更新されたりいたりします。行政への事前確認が義務付けられている場合もございます。設置を予定する市町村の条例を確認しつつ、行政側へ事前相談を行うのがベストです。

京都市のように、特定の地域ではデジタルサイネージ自体の使用が禁止されている例もございます。

デジタルサイネージを活用した社会実験の事例

いずれの事例でも、行政からの情報配信に加えて、民間の広告も取り入れ、広告料で維持費や設置場所拡大のための費用を賄うことができるかどうか検証を行っているようです。

1,大阪府枚方市での事例
市内8か所の公共施設に3年間設置する実験を行っております。

デジタルサイネージを活用した情報発信に関する社会実験を行います | 枚方市ホームページ (city.hirakata.osaka.jp)

2,兵庫県神戸市の事例

神戸市:デジタルサイネージの実証実験 (kobe.lg.jp)

3,大阪府の事例では、放置自転車対策の一環としてデジタルサイネージの活用も社会実験に組み込まれています。

大阪市北区:大阪初 放置自転車対策の推進等に向けた路上変圧器活用の社会実験を開始します (…>防犯・交通安全>自転車) (osaka.lg.jp)

デジタルサイネージ設置・施工に関係する許可申請

デジタルサイネージを設置・施工する場合、下記の許可申請が必要となってきます。

設置・施工を行う業者に必要となってくる業の登録

建設業許可(電気工事業等)

元請・下請を問わず請負金額500万円以上の工事を行う場合、建設業許可が必要となってきます。
規模、設置場所、設置形態等によっては電気工事業以外の区分の許可が必要となる場合がございます。

建設産業・不動産業:許可申請の手続き – 国土交通省 (mlit.go.jp)

電気工事業

電気工事を行う場合は登録が必要です。
建設業許可を取得した際でも、みなし電気工事業・みなし通知電気工事業として届出が必要です。

一つの都道府県のみに営業所を設置しているか、複数の都道府県に営業所を設置している場合にもどことどこなのかによって、都道府県知事、産業保安監督部長、経済産業大臣と提出先が異なってきます。

電気工事業法の申請・届出等の手引き(METI/経済産業省)

屋外広告業

屋外にデジタルサイネージを設置・施工する業務を行う際は、屋外広告業許可申請が必要です。

営業を行う都道府県、政令指定都市、中核市毎に登録が必要です。
都道府県に登録した場合で傘下の指定都市、中核市でも営業を行う場合、該当の市へ届出が必要となります。

設置時に必要となりうる許可申請・留意事項

屋外広告物許可申請

屋外に設置する場合は、屋外広告物許可申請が必要となります。

景観法の景観計画に基づく届出

設置する場所が景観計画で規制されている地域の場合、地域の景観を害しないか否かを判断した上で、届出が必要となる場合がございます。

建築物確認

高さが4mを超える場合、建築物扱いとなり建築物確認が必要となります。

配信コンテンツに関する利用許諾等

配信するコンテンツについても、著作権や肖像権等、他者の権利を侵害しないように留意する必要があります。

ケースによっては、利用許諾契約を結ぶ必要も考えられます。

まとめ

デジタルサイネージは規制要素が多い反面、今後活躍の場はますます広がっていくことと思われます。

他業種からの参入や参画の可能性も踏まえ、留意しておくべき法制度や手続きは抑えておく必要があるでしょう。

当事務所でもデジタルサイネージに関する行政手続きのご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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