東京都のアドトラック・広告街宣車・広告トラック等の車体広告の規制について

東京都の広告トラック、いわゆるアドトラック等の規制については徐々に規制が厳しくなっております。今回は、東京都内で車体広告を行う際の注意点について解説します。

規制改正の背景と概要

東京都では、都市の良好な景観への影響や交通環境の悪化の問題に対応するため、広告宣伝車に関する規制を改正しました。主な改正点は以下の通りです:

  • 都外ナンバーの広告宣伝車が都内を走行する場合にも、都条例の規制を適用
  • 広告宣伝車(宣伝車)の定義を明確化

規制の開始日は令和6年6月30日(日曜日)からです。
ただし、許可申請の受付は令和6年6月3日(月曜日)から開始されます。

規制内容

広告宣伝車に適用される主な規制は以下の通りです:

a) 屋外広告物許可申請手続が必要
b) 車体利用広告の「規格」の遵守が必要
c) 屋外広告業の登録が必要(広告宣伝車の広告物の表示又は掲出物件の設置の営業を行う者が対象)
d) 監督(許可取消・行政措置命令)、罰則の対象

東京都の広告宣伝車規制に関する説明会より

自己の事業又は営業の内容を貼る場合は、屋外広告物設置許可が必要となります。
乗用車、貨物自動車、路線バス観光バス以外のバスについては、第三者のための広告は不可となります。

なお、車体へのラッピング施工を行う事業者については、屋外広告業への登録が必要となります!

禁止事項

車体利用広告の「規格」には以下のような禁止事項があります:

  • 電光表示装置等により映像を映し出すもの(LEDビジョン等)など、運転者の注意力を著しく低下させるおそれのある広告物等
  • 運転者をげん惑させるおそれのある発光し、蛍光素材を用い、又は反射効果を有する広告物等
  • 車体の窓又はドア等のガラス部分に表示する広告物等
  • 消防車又は救急車と紛らわしい色を使用しないこと

屋外広告物許可申請手続の流れ

屋外広告物許可申請手続は以下の流れで行います:

a) 事業者:広告企画・デザイン作成、デザイン自主審査申請
b) (公社)東京屋外広告協会:デザイン自主審査 …約7日。デザイン一点につき審査手数料10,000円を持参。
c) 事業者:屋外広告物許可申請 …約14日
 申請手数料は宣伝車の場合は一台4,950円、バス車体の長方形枠利用の場合は610円、その他車体広告は一台1,950円
d) 区又は多摩建築指導事務所:屋外広告物許可

東京都の広告宣伝車規制に関する説明会より

デザイン審査申請から走行開始までは最低でも約1か月程度かかります。

デザイン自主審査は、(公社)東京屋外広告協会の車体利用広告デザイン審査委員会が行います。審査基準や手続方法、審査料等の詳細は同協会のウェブサイトで確認できます。デザイン自主審査の目的は、業界内部による適切な自主規制により、良質な広告物を誘導することです。審査は原則7日程度で行われます。

申請先

屋外広告物許可申請は、区部の場合は各区、多摩部の場合は多摩建築指導事務所で受け付けます。申請先は以下のように決定します:

  • 都内ナンバーの広告宣伝車:車両登録地の区又は多摩建築指導事務所
  • 都外ナンバーの広告宣伝車:広告を表示して最初に周回走行を行うルートのある区又は多摩建築指導事務所

申請に必要な書類

申請に必要な書類は以下の通りです:

  • 屋外広告物許可申請書(都規則第1号様式)
  • 意匠等作成経過報告書(都規則第3号様式)
  • デザイン審査済証とデザイン図(審査済印押印)
  • 広告宣伝車の車検証の写し
  • 走行ルート図(新規)

走行ルート図は、広域と詳細の2種類を提出する必要があります。

その他注意事項

屋外広告物許可を受けた後、許可票(A5サイズのシール)に許可番号と許可期間を記載し、車両左側ドア等の外側から見やすい場所に貼付する必要があります。

都内を走行する都外ナンバーの広告宣伝車の表示・設置に関する工事を請け負う場合、都の屋外広告業の登録が必要です。登録窓口は東京都都市整備局です。

広告宣伝車の音に関する規制

「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」により、都内では拡声機の使用が制限されています。広告宣伝車で音声や音楽を流す際は、この条例を遵守し、周辺環境への配慮が必要です。

宣伝・広告に関する音の規制法令について | アイアンバード行政書士事務所 (ironbird.jp)

罰則規定

違反行為に対しては、以下のような監督・罰則が適用される可能性があります:

  • 許可取消
  • 行政措置命令(改修、移転、除却等)
  • 罰金(30万円以下、20万円以下)
  • 両罰規定(違反行為者だけでなく、法人にも罰金を科する)
  • 過料(5万円以下)

まとめ

東京都の広告宣伝車の屋外広告物許可申請は、デザイン自主審査と屋外広告物許可申請の2段階のプロセスを経る必要があります。申請者は、規制の内容を十分に理解し、必要な書類を適切に準備することが重要です。また、許可を受けた後も、許可票の貼付や音に関する規制の遵守など、継続的な対応が求められます。

この新しい規制は、都市景観の向上と交通環境の改善を目的としています。広告宣伝車を使用する事業者は、これらの規制を遵守することで、より良好な都市環境の創出に貢献することができます。

参考リンク

東京都の広告宣伝車規制に関する説明会資料(令和6年3月)  (tokyo.lg.jp)

公益社団法人 東京屋外広告協会 (toaa.or.jp)

お問い合わせ

    万が一お問い合わせフォームから送信できない場合は、
    大変お手数ですが、office-ironbird@ironbird.jpまでメールにてご連絡いただきますよう宜しくお願いいたします。

    是非フォローください!