街なみ環境整備事業・まちづくり協定

国土交通省直轄事業の一つに、街なみ環境整備事業というものがあります。

制度概要

住宅が密集し、生活道路や公園などの地区施設が未整備である地域を対象に、住民と行政が協力して住環境を整備し、住みやすい住宅地を形成するための制度です。

なお、『防災』により重きを置く場合には、密集市街地総合防災事業防災街区整備事業といった似たような制度もあります。

基本的に国とのやりとりは市町村等が行うこととなりますが、協議会を通じて住民側も関与していくこととなります。

住宅:市街地住宅整備 – 国土交通省 (mlit.go.jp)

要件

面積が1ha(10000㎡)以上で、下記のいずれかの要件に該当する地域を、街なみ環境整備促進区域として整備していくこととなります。

  1. 接道不良住宅率70%以上、かつ住宅密度30戸以上/ha
    ⇒ 幅員4m以上の道路に面していない住宅が多数ある住宅密集地
  2. 区域内の幅員6m以上の道路の延長が区域内の道路総延長の1/4未満、かつ、公園・広場・緑地の面積の合計が区域面積の3%未満
    ⇒ 大通りもなく、緑地や公園の類もほぼない地域
  3. 景観法に基づく景観計画区域や景観地区、歴史的風致維持向上計画の重点区域
    ⇒ 景観形成を図るべき地域


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導入の流れ

大きく7ステップあります。なお、まちづくり協定の締結などを省略できる場合には、下記のステップ4,5は省略することができます。

  1. 地域課題の抽出(住民・市町村等)
    検討活動やワークショップ等、街なみ環境整備事業の実現に向けた協議会活動には、
    協議会活動助成が活用できます。
    (民間団体に補助を行う市町村等に対して国が補助。国・地方いずれも事業費の1/2を補助)
  2. 協議会の設置、整備方針の検討(住民・市町村等)
    協議会の設置はあくまで任意となりますが、多くの地区で設置され、市町村等と住民側が活発な意見交換や情報交換を行いながら事業が実施されています。
    現況調査、物件調査、説明会の開催、整備方針の策定が補助対象となります。
    (国が市町村等に事業費の1/2を補助)
  3. 整備方針の策定(市町村等)
    国土交通大臣の承認となります。
  4. 街づくり協定の締結(住民)
    土地所有者等が、地区内の概ね2/3以上の合意により、街づくり協定を締結します。
    条例等により、住宅・地区施設等の整備もしくは維持管理に関する事項が定められている場合は、
    街づくり協定が締結されているものとみなしてこの工程を省略することができます。
  5. 街づくり協定の承認(市町村等)
  6. 事業計画の策定(市町村等)
    事業計画において、事業地区の名称・位置・区域、費用等、実際に整備を行う内容が定められます。
    事業計画の策定、説明会の開催が補助対象となります。
    (国が市町村等に事業費の1/2を補助)
  7. 街なみ環境整備事業の実施(住民・市町村等)
    街なみ整備事業  :市町村等が行う整備に対して、国が補助する事業
    街なみ整備助成事業:住民等が行う整備に対して、市町村が補助する事業

市町村等が動く部分が多いですが、その市町村に動いてもらう部分で地域住民等の意見が重要となってきます。

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まちづくり協定

商店街や町内会等地域のまちづくりを主体的に行う団体は、行政側とまちづくり協定を結ぶことができます。
建物の用途、建物外観や広告看板のデザイン、街内環境の維持、出店の手続き等が取り決めに盛り込まれます。
建築基準法の建築協定も盛り込むことができます。

参考: 戎橋筋商店街まちづくり協定.pdf (ebisubashi.or.jp)

※ 建築協定

利便性を高度に維持増進することなどを目的として、土地所有者同士が建築物の基準を建築基準法による最低基準を超えた基準で一種の契約を締結し、公的主体がこれを認可することにより、その契約の安定性・永続性を保証する制度。通常の契約では当事者同士での効力を発揮する内容となりますが、この場合第三者にも効力を発揮します。

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交付対象事業の範囲

  1. 協議会活動助成事業
    ※補助率1/2
  2. 整備方針策定事業(⇒ 説明会開催、調査、方針策定のための費用)
    ※補助率1/2
    • 現況調査費(主に測量に関する費用)
    • 物件等調査(主に権利関係の調査に関する費用)
    • 整備方針策定費用
  3. 街なみ整備事業(⇒ 実際に整備するための費用)
    ※補助率1/2
    ※市町村などが行う整備に対して、国が補助する
    • 事業計画策定費
    • 地区施設整備費
      • 道路整備費(一部詳細な要件あり)
      • 通路整備費
      • 小公園・緑地等整備費
      • 下排水工事費
      • 測量・調査・設計費
    • 地区防災施設設備費
    • 生活環境施設整備費
    • 空家住宅等除却費
    • 景観重要建造物整備費
    • 歴史的風致形成建造物整備費
    • その他(電柱の地中化、水路整備、ストリートファニチャー、案内板の整備等の国土交通大臣が認めたもの)
  4. 街なみ整備助成事業
    ※補助率1/3
    ※住民等が行う整備に対して、市町村が補助する
    • 門・塀等移設費
    • 分泌登記費
    • 修景施設整備費
    • 共同建替等共同施設整備等費
    • 景観重要建造物整備費
    • 歴史的風致形成建造物整備費

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まちづくり活動支援制度

大阪市まちづくり活動支援制度

制度概要

まちづくりの整備手法や制度などの適用がはっきりしていない、まちづくりの初期段階を支援する制度です。まちづくり推進団体に対して、活動費の助成や専門家の派遣を行う制度です。各区の区役所を相談・申請の窓口として、計画調整局などが連携して支援を行います。

令和6年度で予算計上されている区は、中央区、西淀川区、東住吉区のみとなっておりますが、対象区以外の区において支援を希望する場合は、問い合わせ先までご相談することとなります。

まちづくり推進団体

身近なまちの整備・改善・保全等に向けてまちづくり活動を行う団体を、まちづくり推進団体としております。

求められるイメージとしては以下のようなものがあります。

  1. 密集住宅市街地の防災を推進する
  2. 歴史文化遺産等を保全し、近隣地区を含むまちの整備・改善を行う
  3. 商店街・市場の周辺近隣地区を含めたまちの再整備を行う
  4. 跡地利用計画、公共事業地区等の整備を契機に、周辺・近隣地区の再整備を行う

まちづくり推進団体の認定の要件

  1. 【活動範囲】活動地域は、複数の丁目程度以上の広さの区域である
  2. 【構成員】まちづくりの対象区域内の居住者、事業者、土地家屋の所有者で構成されていること
  3. 【住民の支持】その活動が、住民等の多数の支持を得ていること
  4. 【活動目的】その地域におけるまちの整備・改善・保全等にかかるまちづくり構想の策定を目的としていること
  5. 【行政支援の重複回避】国、他の公共団体等が行う同様の活動支援を申請日以前に受けていないこと

なお、大阪市の場合は、まちづくり支援団体一覧は支援終了したものも含めて公に公表されております。

大阪市:大阪市まちづくり活動支援制度 (…>住まい・まちづくり>大阪市まちづくり活動支援事業) (osaka.lg.jp)

最後に

まちをつくるのは誰かがやってくれるだろう、というものでもなく、皆さん一人一人が形作っていくものです。
小さなところからでも、まちづくりに貢献できる部分はいろいろあるのではないでしょうか。自分のことでいっぱいになってしまいがちな現代社会ですが、地域の為に貢献していると、回りまわって自分にも何倍にもなって返ってくることもあるのではないかと思われます。

まちづくりについてお困りの方がおられましたら、是非当事務所にご相談ください。

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