宣伝・広告に関する音の規制法令について

宣伝・広告に関する音に関する規制は、各種法令や条例で規制されている場合があります。この記事では、工場や工事現場、道路などの騒音規制については取り上げません。

音全般に関する法令についての記事も合わせてご確認ください。

音に関する法令 | アイアンバード行政書士事務所 (ironbird.jp)

宣伝・広告に関する音の規制の基本的な考え方

宣伝・広告に関する音の規制について、基本的な考え方は以下のとおりです:

音量と時間帯の制限

宣伝・広告目的の音の使用には、音量と時間帯に関する制限が設けられています:

  • 音量基準は地域区分によって異なり、住居専用地域では60〜65デシベル以下、商業地域では75デシベル以下などの基準があります
  • 放送可能な時間帯も地域によって異なり、多くの地域で8時から19時までに制限されています
  • 商業宣伝目的の場合、1回の放送を10分以内とし、10分以上の休止時間を設けることが求められます

地域特性への配慮

  • 住宅地など静かな環境が求められる地域では、より厳しい規制が適用されます
  • 商業地域でも、周辺環境への影響を考慮した運用が求められます。

公共性と商業性のバランス

  • 公共目的や祭礼などの場合は、商業宣伝よりも規制が緩和される傾向にあります
  • 商業宣伝の場合は、事前の届出が必要となるなど、より厳格な管理が行われます

景観と調和したデザイン

広告宣伝車などの移動式広告については

  • 街並みとの景観上の調和が求められます
  • 過度に刺激的な表現や派手な色使いは避けるべきとされています

自主規制の重要性

  • 音源や走行場所によって音の聞こえ方が異なるため、時間帯や場所、細かい音量調整などについて自主的な規制を行うことが望ましいとされています

これらの規制や考え方は、静かな生活環境の確保と商業活動のバランスを取りつつ、公共空間における騒音問題を最小限に抑えることを目的としています。

大阪府の場合

規制内容の概要

周囲30mの区域で禁止

  • 病院
  • 学校
  • 図書館
  • 保育所、認定こども園
  • 特別養護老人ホーム

拡声器の使用上の留意事項

  • 午後8時~翌日の午前9時(日曜日その他の休日は午前10時)の間は拡声器の使用禁止
  • 幅員4メートル未満の道路での拡声器の使用禁止
  • 同一場所においては、拡声器の1回の使用時間は10分以内とし、1回につき10分以上休止すること
音量の制限

ひらたくいえば、住宅地>商業地>工業地の順に規制が緩和されていきます。

なお、病院・学校等の住民の生活環境を保全する必要があると認められる施設付近では、下記の用途地域内であっても制限が加えられます。

55デシベル(目安:役所の窓口周辺)
  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 田園住居地域
60デシベル(目安:銀行の窓口周辺、海辺)
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
70デシベル(バス、新幹線の車内)
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
75デシベル(地下鉄の車内、蝉の声)
  • 工業地域

商業宣伝を目的として航空機から危害に向けて拡声器を使用する場合

  • 午後5時~翌日の午前9時(日曜日その他の休日は午前10時)の間は拡声器の使用禁止
  • 同一地域の上空で連続して3階以上旋回させながらの拡声器の使用の禁止
  • 病院、学校、図書館とその周辺地域においては、これらの施設にスピーカーを向けての使用を禁止
  • 拡声器の電力増幅器からスピーカーへの最大入力が30ワットを超えないこと

行進及び集団しい運動に関する条例

大阪市他、各市町村単位の条例にて行進及び集団示威運動に関する条例が定められております。

行進若しくは集団示威運動で、街路を占拠又は行進して他人の個人的権利又は他人の街路の使用を排除若しくは妨害に至るべきものは、公安委員会の許可が必要となります。

実施時刻の72時間前までに許可申請を行う必要があります。
また、許可にあたり条件が付される場合があります。

  • 実施の日時
  • 主催者及び参加団体の名前及び住所
  • 行進若しくは集団示威運動の行進路
  • 参加予定人員数
  • 運動の目的及び性質

無許可での実施、虚偽申請、条件に従わないといった場合は条例により1年以下の懲役又は50,000円以下の罰金に処されます。

参考条文

東京都の場合

比較として、東京都の事例を紹介します。音量制限区域が一部非常に細かく、全体として大阪府よりも厳しめである他は概ね同様ではあります。

拡声器による暴騒音の規制に関する条例

10メートル以上離れた地域から測定して85デシベルを超えるような音を『暴騒音』として定義づけられ、原則として何人も拡声機により暴騒音を生じさせてはならないと明記されております。
参考として、ゲームセンター店内で約80デシベル少々、パチンコ店内で約90デシベル前後です。

都民の健康と安全を確保する環境に関する条例

129条~133条にて、音に関する規定が存在します。

  • 航空機から商業宣伝を目的とした拡声機の使用の禁止
  • 原則何人も直接に屋外に騒音を発する状態での拡声器の使用禁止
  • 午後8時から翌日の午前6時までを夜間として、道路その他の公共の場所においてみだりに静穏を害する行為の禁止

商業宣伝を目的とする拡声器使用の順守事項

禁止区域

以下の区域並びにその周囲30メートル以内の区域が禁止区域となります。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 田園住居地域
  • 病院
  • 学校

遵守事項

  • 午後7時~翌日の午前8時は拡声機の使用禁止
  • 同一場所で使用する場合、1回10分以内として1回につきて15分以上の休止時間をおくこと
  • 幅員5メートル未満の道路での拡声器の使用禁止
  • 移動しながら拡声器を使用する場合は、幅員4メートル未満の道路での拡声器の使用禁止
  • 拡声機の間隔は、50メートル以上とする。(複数台が間近に固まってはならない)
  • 地上10メートル以上の位置での拡声器の使用禁止
  • 地上5メートル~10メートルの位置で拡声器を使用する際は、道路方向に平行にし、かつ、水平方向から下方30度~45度までの角度でしようすること。

音量の制限

第一種区域:55デシベルまで
  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 田園住居地域
  • 東京都文教地区建築条例2条の第一種文教地区
  • 無指定地区(第二種区域に該当する場合を除く)
第二種区域:60デシベルまで
  • 近隣商業地域(第一種区域に該当する区域を除く)
  • 商業地域(他の区域に該当する区域を除く)
  • 準工業地域
  • 工業地域
第三種区域:75デシベルまで

非常にピンポイントです。

千代田区
  • 有楽町二丁目
  • 鍛治町二丁目
  • 神田鍛治町三丁目
  • 神田須田町一丁目、二丁目
中央区
  • 銀座一丁目~7丁目
  • 日本橋一丁目(一番~九番)
  • 日本橋二丁目(一番~七番)
  • 日本橋三丁目(一番~八番)
港区
  • 新橋一丁目~二丁目
新宿区
  • 新宿三丁目
台東区
  • 上野二丁目、四丁目
  • 浅草一丁目、二丁目
  • 雷門一丁目、二丁目
渋谷区
  • 宇田川町(二十二番、二十三番)
  • 道玄坂一丁目四番のうち、幅員18メートル以上の道路並びにその境界線から10メートル以内の区域
  • 道玄坂二丁目(一番~六番、二十九番、三十番)

例外規定

  • 集団の整理誘導等のために使用する場合
  • 祭礼、盆踊り等の地域慣習となっている行事を行う場合で、午前8時~午後11時までに使用する場合で、先述の音量の規制に適合する場合

最後に

音声を活用した広告宣伝は視覚にのみ訴えるよりも効果が高い反面、規制が割と多いです。不快感を感じさせるような場合は、その場からの移動を他人に事実上強要するものとなり、一定程度の規制はやむを得ないものと考えられます。

ルールに則って行わない場合は、かえってマイナスイメージを喧伝する結果となりかねません。そういった意味でも、よりいっそうの趣旨を含めた法令等への理解が求められます。

当事務所では、強みの適切な魅せる化を推進しております。行政手続きについてお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。

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