景観法16条届出とは? 届出が必要なケース・手続きの流れ・罰則まで行政書士がわかりやすく解説


はじめに

建築物の新築や外壁の塗り替え、看板の設置を計画していて、「景観法の届出も必要です」と言われて戸惑った経験はありませんか?

認知度が低い景観法第16条の届出ですが、対象となる行為を届出なしに行えば、30万円以下の罰金の対象となります。

また、届出後であっても、原則30日間の着手制限期間(景観法第18条)に違反して工事等に着手した場合は、50万円以下の罰金が科される可能性があります。

にもかかわらず、実務上は見落とされやすい手続きの一つとなっています。

本記事では、景観法16条届出に焦点を絞り、実務目線で以下のポイントを解説します。

  • どんな場合に届出が必要か
  • 具体的に何をすればよいか
  • 自治体ごとに何が異なるのか

なお、景観法全体の申請・届出制度や罰則の体系については、当事務所の別記事「景観法令における申請・届出等」にて整理しておりますので、あわせてご覧ください。


景観法の趣旨をおさらい ― なぜ届出が求められるのか

景観は「国民共通の資産」

景観法は2004年に制定された、日本初の景観に関する総合法です。

第1条では、良好な景観の形成を通じて、以下の実現を図ることを目的としています。

「美しく風格のある国土の形成、潤いのある豊かな生活環境の創造及び個性的で活力ある地域社会の実現」

さらに第2条では、良好な景観を「国民共通の資産」と位置付けています。

個人の所有物である建築物であっても、その外観は周囲の景観を構成する要素であり、地域全体の価値に影響を与える存在です。この考え方が、事前届出制度の根拠となっています。

景観法は「枠組み法」

景観法は、国が全国一律の規制を設ける法律ではありません。各景観行政団体(都道府県・政令市・中核市・市町村等)が策定する「景観計画」や「景観条例」に実効性を持たせるための「枠組み」を定めた法律です。

そのため、以下の項目は自治体ごとに大きく異なります。

  • 対象となる行為
  • 届出が必要となる規模
  • 色彩・意匠の基準

景観法16条届出の趣旨 ― 建築確認だけでは足りない理由

第16条が果たす役割

景観法第16条は、景観計画区域内で一定の行為を行う場合、事前に届出を行うことを義務付けています。

この制度の目的は、行為が景観計画に定める「景観形成基準」に適合しているかを事前に確認し、必要に応じて指導・勧告等により調整を行うことにあります。

建築確認とは別制度である点に注意

建築確認と景観法の届出は、審査の目的や性質が全く異なります。

項目建築確認申請景観法16条届出
根拠法令建築基準法景観法
審査対象構造・防火・安全 等外観・色彩・調和
性質確認届出
提出先建築主事 等景観行政団体

建築確認では、景観基準への適合は審査されません。「建築確認を取得していれば大丈夫」ではなく、景観法の届出は別途必要となる点に注意が必要です。

「届出」であっても自由ではない

景観法16条は許可制ではなく「届出制」ですが、以下の制約があります。

  1. 着手制限: 届出後は原則として30日間は行為に着手できません(景観法18条)。
  2. 適合命令等: 届出内容が基準に適合しない場合、勧告(16条3項)や変更命令(17条)が行われる可能性があります。

変更命令に違反した場合は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となります。「届出だから自由」という理解は誤りです。


届出が必要な行為 ― 4つの類型

景観法16条1項では、主に以下の行為を届出対象としています。

第1号:建築物の建築等

  • 新築・増築・改築・移転
  • 外観を変更する修繕・模様替え
  • 色彩の変更
    • 外壁塗装も「外観変更」に該当する場合があります。従前と同色の塗替えの場合は届け出不要となる場合がありますが、同色塗り替えであっても届出対象とする自治体も存在します。

第2号:工作物の建設等

  • 門・塀・煙突・高架水槽・支柱などの工作物が対象です。
  • 看板の支柱や大型サインの構造体も該当する場合があります。

第3号:開発行為等

  • 都市計画法上の開発行為などが該当します。

第4号:条例で定める行為

各自治体は、条例により独自に対象行為を追加できます。条文だけでは判断できない理由がここにあります。
他の法令で届出が必要な場合でも、景観条例上の届出も別途必要な場合も十分に考えられます。

  • (例)土砂採取、資材堆積、伐採、屋外照明設置 など

実務上の注意点

ポイント

  • 事前協議制度: 多くの自治体では事前協議が実質的に必須です。(例:広島市では事前協議完了後、着手制限期間が7日に短縮されます)
  • 景観協定:自治体だけでなく、商店街や町内会等で独自の基準が課されていたり、事前協議を行う必要がある場合があります。景観協定は地域のルールに法的な根拠を持たせた制度と言えます。
  • 色彩基準: 多くの自治体が「マンセル値」による色彩基準を採用しており、彩度を抑えた色調が求められるのが一般的です。
  • 完了届: 工事完了後に写真提出を義務付ける自治体も増えています。

景観法令は屋外広告物法令とも極めて密接にかかわっています。神社仏閣等の文化財付近、地域の主要な道路、主要な河川等、地域の顔となっている又は地域の顔としていきたい一体は重点的に規制が強めです。よくSNSで景観写真が出回っていたり、実際に歩いてみるとあきらかに居心地に違いが感じられる場所は軒並み規制が強めです。

近年地域のブランド力向上、地域の魅力増進の動きが全国的にみられます。私自身景観は地域の武器になりえると考えておりますし、実際に行政側にもそのような動きがみられます。規制と捉えるよりかは、今進めようとしている計画が地域社会にどのようなプラスの貢献ができるのか?という視点で計画を組み立てていくことが今後ますます重要となってくると思われます。


おおまかな届出フロー

一般的な手続きの流れは以下の通りです。

  1. 管轄・区域確認
  2. 要否判断
  3. 事前協議
  4. 届出提出
  5. 着手制限期間(原則30日)
  6. 着工
  7. 完了届(必要な場合)

屋外広告物との関係: 屋外広告物の設置許可と景観法届出は別制度です。両方必要となるケースが少なくありません。



景観法16条届出のご相談は行政書士へ

景観法16条届出は、制度理解と自治体運用の把握が不可欠な分野です。

当事務所では、以下の業務を一括して対応しております。

  • 届出要否判断
  • 事前協議対応
  • 書類作成・提出
  • 屋外広告物手続との調整

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