【看板デザイナー様向け】看板デザインの納品先の屋外広告物法令規制対応の視点


はじめに

看板やサイン、ファサードのデザインを手がけるデザイナーの皆様にとって、クライアントの想いをかたちにし、街に新たな表情を生み出す仕事は、大きなやりがいのあるものだと思います。

しかし、完成したデザインが実際に屋外に掲出される際には、「屋外広告物法令」をはじめとする複数の法令や条例が厳格に適用されます。デザインがこれらの基準に適合していなければ、「許可が下りず設置できない」あるいは「設置後に是正指導や撤去命令を受ける」といった事態を招き、クライアントに多大な損害を与えかねません。

本記事では、納品先の地域で適用される法令の全体像と、デザインに直接影響する規制のポイントを、行政書士の視点から実務に即して整理します。


1.屋外広告物を取り巻く法令の構造

1-1.屋外広告物法(昭和24年法律第189号)

屋外広告物規制の根幹となる法律です。目的は「良好な景観の形成」「風致の維持」「公衆に対する危害の防止」にあります。

本法における屋外広告物とは、「常時又は一定の期間継続して、屋外で公衆に表示されるもの」と定義されており、看板、広告塔、貼り紙も対象となります。建物内部からガラス面に貼られ屋外に向けて表示されるものは厳密には屋外広告物には該当しませんが、特定屋内広告物として規制対象となっている場合があります。同じ市町村内でも局所的に規制されている場合もあります。

1-2.各自治体の屋外広告物条例

屋外広告物法は、具体的な規制内容を各自治体に委ねる「条例委任型法律」です。そのため、都道府県および政令指定都市・中核市等は独自の条例を運用しています。つまり地域によってローカルルールが激しく、同一市町村内でも局所的にルールが異なるというのは割とざらにある、極めて多様性のある法令制度となっております。

たとえば大阪府内でも、大阪市・堺市・豊中市・高槻市・東大阪市・枚方市・八尾市・寝屋川市など(中核市以上)では、各市独自の条例が優先され、府条例とは許可基準や色彩制限が異なる点に注意が必要です。

1-3.景観法、景観計画そして景観協定

景観法に基づき、多くの自治体が「景観計画」を策定しています。屋外広告物条例はこの計画と整合して運用されるため、特定景観地区などでは、通常の条例基準よりもさらに厳しい「デザインの統一感」や「素材の制限」が求められます。場合によっては、景観法に基づく景観協定により、一定範囲の土地所有者等で局所的に規制が上乗せされている場合もあります。

1-4.その他の関連法令(横断的な適合確認)

  • 建築基準法:一定規模(高さ4m超など)の広告塔等は「工作物」として確認申請が必要です。ただし壁面広告等、倒壊のおそれがない等一定の場合は確認申請が不要の場合もあります。
  • 道路法・道路交通法:道路上に突出する看板の場合は、占用許可(何かしらのものを空中を含む道路に設置して占有するための許可)および道路使用許可(道路を通行以外の理由で使用するための許可)が必須です。
  • 安全点検の義務化:近年の法改正により、多くの自治体で有資格者による定期的な安全点検が義務付けられています。

2.デザインに直接影響する主な規制ポイント

2-1.面積・高さ・突出幅の制限

地域(用途地域等)ごとに、壁面広告物の表示面積率や、地上からの高さ、歩道への突出幅の上限が数値化されています。これらはレイアウトの根幹に関わるため、制作初期の確認が不可欠です。

2-2.色彩に関する規制(マンセル値の指定)

多くの自治体では、マンセル値(色相・明度・彩度)を用いた色彩基準を設けています。

  • 高彩度色の使用制限:赤や黄色など、彩度の高い色は表示面積の「〇%以内」といった制限がある場合もあります。
  • 背景色と文字色のコントラスト:景観調和の観点から、刺激の強い組み合わせが制限される場合があります。※モニター(RGB)や印刷(CMYK)とマンセル値は異なるため、設計段階での数値変換が必要です。

2-3.光源・照明・映像表示

  • 点滅表示の禁止:交通安全の観点から、幹線道路沿い等では点滅照明が禁止される地域が多いです。
  • デジタルサイネージ:輝度や画像の切り替え間隔(例:静止して数秒保持等)にガイドラインが設けられている場合があります。徐々にガイドラインを制定している自治体が増加しており、今後の法令改正を見越して事前に対応しておくのが安全と言えます。

3.違反した場合のリスクと責任

条例違反が判明した場合、以下の法的・社会的措置が講じられる場合があります。

  1. 是正指導・措置命令:改修、除却(撤去)の勧告、強制。
  2. 行政代執行:自治体が強制撤去し、その費用を所有者に請求。
  3. 罰則・過料:最大50万円以下の罰金(自治体による)

デザイナーが直接処罰されるケースは稀ですが、不適合なデザインを納品した結果、クライアントが損害を被った場合、契約上の賠償責任を問われるリスクがないとは言い切れません。


4.「屋外広告業登録」の確認

デザイナー様が看板の製作・施工までを一貫して請け負う場合、元請・下請を問わず、法人・個人を問わず、設置場所を管轄する自治体への「屋外広告業登録」が法令で義務付けられています。都道府県、政令指定都市、中核市で計129か所登録先が存在します。

無登録業者による施工は、クライアントにコンプライアンス違反のリスク(工事停止や過料)を負わせることになります。パートナー業者へ発注される際も、有効な登録証の有無を確認することがプロの業務として重要です。


5.行政書士にできること

アイアンバード行政書士事務所では、デザインの創造性を守りつつ、確実に「設置できる」ための法的サポートを行っております。

  • 現地調査・適用条例の特定
  • デザイン案の色彩・面積計算(事前適合性確認)
  • 設置許可申請・工作物確認申請の代理
  • 屋外広告業登録の申請サポート

【特典】デザイナーのための簡易法令適合チェック

制作の各フェーズでご活用ください。

  • [ ] 設置場所の特定:正確な住所(地番)と展開場所を確認し、管轄自治体を特定したか?
  • [ ] 規制区域の確認:禁止区域、許可区域、景観形成地区、景観協定地区に該当しないか?
  • [ ] 面積の算出:合計面積が基準内か?
  • [ ] 色彩の数値化:指定色が自治体のマンセル値基準に収まっているか?
  • [ ] 照明・サイネージ:点滅周期や輝度がガイドラインを遵守しているか?
  • [ ] 屋外広告業登録の確認:施工を行う主体は、当該自治体の屋外広告業登録を受けているか?

終わりに

「このデザインで許可が取れるか不安」「色彩基準の計算が難しい」といった場合は、初期段階でぜひご相談ください。事前にご相談いただくことで、やり直しの手間を削減できる可能性が高まります。地域の強み×広告主の強みを踏まえつつ、法令の壁をクリアし、貴方のクリエイティブを安全に街へ送り出すお手伝いをいたします。

※本記事は執筆時点(2026年2月)の法令に基づいています。


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