広告デザインを考える際に意識しておくべき法令やガイドライン
日本における広告デザインに関連する法令やガイドラインの一例を以下にまとめました。各法令やガイドラインの名称、概要、施行日、関連する公式ウェブサイトのURLを記載しています。
以下のように大別できます。
- 知的財産権に関する規制(著作権法、商標法、不正競争防止法等…)
- 広告内容の規制(特定商取引法、景品表示法、薬機法、各種業界ガイドライン等…)
- 広告場所の規制(屋外広告物法令、景観法令等…)
- 契約条件や取引の適正化のための規制(通称フリーランス法等)
知的財産権に関する規制
著作権法
- 概要: 著作物の権利を保護し、無断使用や複製を禁止する法律です。広告デザインにおいても、他者の著作物を使用する際には適切な許諾が必要です。
- 施行日: 1970年1月1日
- URL: 文化庁公式サイト
商標法
- 概要: 商品やサービスに使用するマークやロゴを保護し、他者による無断使用を防止する法律です。広告デザインで使用するロゴやブランド名の保護に関わります。
- 施行日: 1959年4月13日
- URL: 特許庁公式サイト
不正競争防止法
- 概要:事業者間の公正な競争を確保し、事業者の利益を保護することを目的としています。商品、営業の表示(事業者名、商号等)、営業秘密、限定提供データ等が保護対象となっております。
- 施行日: 1955年4月1日
- URL: 不正競争防止法の概要 (METI/経済産業省)
代表的な禁止行為
- 他人の周知・著名商標と同一または類似の表示を使用する(周知表示混同惹起行為)
- 商品形態(デザイン・パッケージ)の模倣による不正競争
- 営業秘密(顧客名簿など)の不正取得・使用・漏洩
- 技術的制限手段の回避(コピーガード破りなど)
- ドメイン名を不正に取得する行為
広告内容の規制
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
- 概要: 商品やサービスの品質、規格などについて、実際よりも著しく優良であると誤認させる表示や、過大な景品類の提供を防止するための法律です。
- 施行日: 1962年5月15日
- URL: 消費者庁公式サイト
広告デザインで特に問題となる例
- 「日本一」「業界No.1」など優良誤認表示
- 実際には適用外の商品を含む「最大●%オフ」表示
- 景品類の上限を超えたキャンペーン
実務ポイント
広告内に「根拠・条件」を明示する必要があります。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)
- 趣旨: 性風俗・遊技場・飲食営業などに対する広告規制を定める法律。
- 施行日: 1948年7月10日
広告デザインで留意すべき点
- 風俗営業の広告は、掲示可能な区域・媒体も厳格に制限される
- 特定の文言・写真の掲載禁止(過度に客引きを誘発するもの など)
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)
- 概要: 医薬品や医療機器の品質や安全性を確保するための法律で、これらの広告に関する規制も定めています。
- 施行日: 1961年9月1日
- URL: 厚生労働省公式サイト
- 化粧品等の適正広告ガイドライン(2020年 日本化粧品工業連合会)
健康増進法
- 概要: 国民の健康増進を図るための法律で、特別用途表示に関する規制が含まれます。
- 施行日: 2003年5月1日(健康増進法)
- URL: 厚生労働省公式サイト
- URL: 栄養や保健機能に関する表示制度とは | 消費者庁
- (誇大表示の禁止)
健康増進法第六十五条 何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
酒税法と業界による自主規制
- 概要: 酒類の製造や販売に関する法律で、酒類の広告表示についても規定があります。また酒類業9団体により作成された自主規制を非酒類業界の有識者による酒類の広告審査委員会で審議しています。
- 施行日: 1953年6月1日
- URL: 酒類の広告審査委員会
たばこ事業法
- 概要: たばこの製造や販売に関する法律で、たばこの広告や販売促進活動に関する規制が定められています。また業界団体においてはたばこ事業法等関係法令の趣旨に鑑み、広告、販売促進活動に関して会員が遵守すべき自主規準を設けています。メーカーにより独自の自主規制が課されている場合があります。
- 施行日: 1985年7月1日
- URL: たばこ事業法 | e-Gov 法令検索
- URL: 自主規準に関する取り組み | 協会の活動 | (一社)日本たばこ協会
広告場所の規制
屋外広告物法令
- 概要: 公共の安全や美観を維持するため、屋外広告物の設置や表示に関する基準を定めた法律です。実際には都道府県や市町村の条例で地域毎の具体的な規制内容が定められており、地域だけでなく場所によっても細かく確認する必要があります。許可申請が必要な場合もありますが、許可が必要となる基準も地域によって細かく異なっております。
- 施行日: 1949年6月18日
- URL: 屋外広告物法 | e-Gov 法令検索
景観法令
- 概要: 良好な景観の形成を目的とし、建築物や広告物のデザインに関する規制や指針を定めています。景観法に基づく景観計画や景観協定が定められた区域では、独自の上乗せ基準が課されている可能性があります。
- 施行日: 2004年6月18日
- URL: 景観法 | e-Gov 法令検索
- URL:景観 - 国土交通省
インターネット広告における個人情報の取扱いに関するガイドライン
広義の意味ではデザインに含まれうる内容にはなりますが、インターネット広告における個人向けの広告については個人情報の取り扱いについてもガイドラインが存在します。
- 概要: インターネット広告における個人情報の適切な取扱いを定めたガイドラインで、ユーザーのプライバシー保護を目的としています。
- 施行日: 2024年2月7日
- URL: 個人情報保護委員会公式サイト
契約条件についての規制
特定商取引法
- 趣旨: 消費者トラブルの防止
- 施行日: 1976年7月1日
- URL: 特定商取引法とは|特定商取引法ガイド
広告デザインでの留意点
- 返品条件・送料・問い合わせ先の明示
- 定期購入の初回価格の強調禁止(誤認防止義務)
通称フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)
こちらはデザインを制作する方と依頼者との間での取引の適正化の視点での規制内容となります。
- 概要: 個人がフリーランス事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するため、フリーランスの仕事の報酬の内容その他の事項の明示を義務付ける等の措置を講ずることにより、取引の適正化及び就業環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
- 施行日: 2024年(令和6年)
- URL: 公正取引委員会フリーランス法特設サイト | 公正取引委員会
上記に挙げたものはほんの一例となります。
知的財産保護の側面、消費者保護の側面、景観保護の側面、取引の適正化の側面といった具合で、一口に法令やガイドラインといってもさまざまな観点からみる必要があります。
最後に
デザイン制作をするにあたっても、知的財産権以外にも考慮しておくべき法令は複数存在します。トラブルが顕在化してしまった場合の後処理は金額も労力も大きくかかってしまうこととなりますので、未然に防ぐためにこれらの法令については常日頃から意識しておく必要があります。
当事務所では『宣伝・広告』に関するご相談を承っております。法令対応についてお悩みの場合はお気軽にご相談ください。


