屋外広告物は「出せるか」より「残せるか」の時代へ

―― 万博での経験を通じて改めて感じた、看板と街の新しい関係 ――

はじめに

「看板に許可がいる」ことを、知らないまま出している人は少なくありません

店舗を開業するとき、ロゴを作り、内装を整え、看板を設置する――。 多くの方にとって、それはごく自然な流れです。

しかし、その中で 「看板含む屋外広告物には原則として行政の許可が必要である」 という事実が、十分に認識されているとは言えません。

  • 業者に任せているから大丈夫だと思っていた
  • 建物の一部だから問題ないと思っていた
  • 他の店も出しているから大丈夫だと思っていた

こうした理由で、許可の存在そのものを知らないまま設置されている屋外広告物は、今も少なくありません。

万博をきっかけに、多くの人が「デザインの力」を実感した

昨年の大阪・関西万博を振り返り、 「建築が人の気持ちを動かすこと」 「デザインが街の印象を決定づけること」 そして「ひとつの造形が、社会的メッセージを持ち得ること」を、強く実感した方も多いのではないでしょうか。

万博会場では、建築・サイン・ランドスケープのすべてが、「個」ではなく「全体の景観」として設計されていました。 この体験は、実は私たちの日常の街並み――屋外広告物のあり方とも、深くつながっています。


屋外広告物は「個別の資産」でありながら「街に置かれる存在」

看板は、営利・非営利を問わず個別の資産であると同時に、公共空間に視覚的な影響を与える存在です。また落下事故やよそ見運転誘発といった危害の防止といった観点からも、法律上屋外広告物は「自由に出せるもの」ではなく、「行政が一定のルールのもとで管理(規制)する対象」とされています。

多くの自治体で、

  • 屋外広告物条例
  • 景観条例
  • 地区計画・ガイドライン

が設けられているのは、「看板も街の構成要素であり、公衆に対する責任がある」という考え方が前提にあるからです。

屋外広告物法は存在しますが、細かいルールは条例に委任する形となっているのは、地域によって気候や景観等、事情が大きく異なっているためでもあります。さまざまな法令が地域毎に運用されていたりしますが、その中でも屋外広告物は際立って地域差が激しい規制対象であるとも言えます。

「許可が取れた=安心」ではなくなってきている現実

屋外広告物の許可は、一度取れば永久に有効、というものではありません。 更新時(通常2〜3年ごと)や改修時には、その時点の基準や状態で再審査されます。

近年は特に、以下の2点が厳格化のトレンドにあります。

  1. 景観への配慮:色彩・照度・周辺環境との調和がより重視される。景観法令とも連動。
  2. 安全性の確保:老朽化による落下事故防止のため、有資格者による「安全点検報告」が義務化されている

👉 「昔は通った」ことが、次も通る保証にはならない

これから問われるのは「出せるか」ではなく「残せるか」

だからこそ、屋外広告物を考える際の問いは変わりつつあります。

「この看板、出せますか?」 ではなく、 「この看板、この街で残り続けられますか?」 という問いです。

万博で見た建築やデザインが、社会に残ることを前提に設計されていたように、日常の看板もまた、「今の集客」だけでなく「街との調和」や「長期的な安全管理」を問われる時代に入っています。

「既存不適格」が示す、残る看板と消える看板の分かれ目

設置当時は適法でも、その後の条例改正などにより現在の基準に合わなくなる状態を「既存不適格(きぞんふてきかく)」と呼びます。 これは一定期間、特例として維持が認められる状態ですが、非常にデリケートな権利です。

重要なのは、 「うかつに手を加えると、権利を失う(不適格となる)」 という点です。

例えば、良かれと思って以下のような変更を行うと、「新規設置」とみなされ、現行の厳しいルールへの適合が求められることがあります。

  • サイズを変える
  • 設置位置をずらす
  • 構造を作り直す

その結果、「看板を撤去せざるを得ない」「サイズを大幅に縮小しなければならない」という事態になり得ます。

👉 つまり、「今ある」ことと「これからも残せる」ことは別問題なのです。


まとめ

看板は、街と共存できて初めて価値を持つ

屋外広告物は、「目立てばいい」「出せればいい」という時代を、確実に越えています。 街の景観として美しく、工作物として安全であること。

大阪・関西万博が示したのは、デザインが社会や街の未来に影響を与える力でした。日常の看板もまた、その延長線上にあります。地域の景観を損ねることなくその存在感を放つ看板は、やがて事業の看板に留まらず地域の名所へと変化します。インターネット広告が隆盛する現代においてもなお、屋外広告物にはそれだけのポテンシャルがあると確信しております。

だからこそ今、屋外広告物は 「出せるか」という視点に留まらず、 「この街で、安全に残り続けられるか」 という視点で考える必要があります。


屋外広告物を「残す」視点で整理したい方へ

アイアンバード行政書士事務所では、

  • 屋外広告物の許可が必要かどうかの整理
  • 設置前・更新前の法令・条例チェック
  • 既存不適格看板の維持・変更に関するリスク整理
  • 是正指導・更新時の対応支援

を、屋外広告物専門の行政書士として行っています。

「そもそも許可が必要なのか分からない」 「この看板、将来も使い続けられるのか」 そう感じた段階でのご相談が、最も無理のないスタート地点です。

当事務所は、屋外広告物の法令対応手続きだけに留まらず、
知的資産活用、当たり前と思われがちな強みの掘り起こしについても力を入れております。

事業の強み × 地域の強み + 利用可能な制度活用 ここが当事務所の強みでもあります。

看板やデジタルサイネージ導入等、屋外広告物について何かしら検討中の方は是非当事務所へご相談ください。

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