屋外広告物・景観に関連する補助金制度の例

今回は、屋外広告物・景観に関連しそうな補助金等の国や地方の制度をいくつか紹介します。

なお、補助金制度導入を検討する際に必ず押さえておくべきことがありますが、別記事にまとめてありますので、まだお読みになっていない方は合わせてご確認いただければと思います。

屋外広告物に関連する補助金制度導入を検討する際に必ず押さえておくべきこと (ironbird.jp)

なお、あくまでも記事執筆時点の2024年8月現在での話になります。
既に募集が終了していたり次回導入されたとしても要綱の内容が変わっている場合もございます。
あくまで参考程度にご確認いただければと思います。

募集時期としては4~6月にて公募期間が設定されているものが多いです。

国の補助金の例

国土交通省

国土交通省直轄の事業

街なみ環境整備事業

住環境整備事業の中に、街なみ環境整備事業というものがあります。

住環境の整備改善を必要とする区域において、ゆとりとうるおいのある住宅地区の形成のため、地区施設、住宅及び生活環境施設の整備など住環境の整備改善を行う地方公共団体及び土地所有者等に対して国等が必要な助成を行う制度です。国土交通省直轄の事業ではありますが、都道府県や市町村に予算が交付されていることもあり、各市町村の公式サイトでもこの事業の情報を確認することができます。

  • 協議会助成事業
    ⇒ 協議会の活動に対する支援
  • 整備方針策定事業
    ⇒ 街なみ環境整備方針の策定
  • 街なみ整備事業
    ⇒ 整備事業計画の策定、地区施設等の整備、空家住宅等の除却、案内板の設置等
  • 街なみ整備助成事業
    ⇒ 住民が行う門、塀等の移設及び付随する登記、共同建て替え等の共同施設整備、修景施設の整備等

こちらについては別途記事をまとめます。(現在執筆中)

まちづくりとなるため、かなり大掛かりとなりますが、地域を巻き込んで計画していく支援の制度がある、というのは覚えておいて損はないでしょう。

大元となる社会資本整備総合交付金自体は、令和にはいってから年々減額傾向ではあります。(令和入って年400~500億円ずつ減額されているとはいえ、令和6年度予算で5,065億円)
しかしながら、防災・安全交付金がその分年々予算額が上昇しております。(令和6年度予算で8,707億円)

省エネかつ防災機能も踏まえた形で、新しい屋外広告物の提案を地域に対して行うことができれば、制度利用の検討余地は大いにあるのではないかと思われます。

社会資本整備総合交付金 – 国土交通省 (mlit.go.jp)

街なみ環境整備事業のパンフレット(平成21年) (mlit.go.jp)

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観光庁

地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化

地域経済に裨益する宿泊施設を核とした観光地再生・高付加価値化に向けた取り組みを強力に後押ししようとしております。

  • 宿泊施設の高付加価値化改修
  • 観光地を面でDX化
  • 景観改善等のための廃屋の撤去
  • 公的施設・観光施設の改修支援
  • 地域計画に基づき実施される実証実験等の取り組み支援

観光支援のための利便性向上のために多言語対応の案内図をデジタル化したり、防災情報等の付随する情報を発信できるような仕組みを導入するなど、検討の余地は大いにありそうです。

地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化 | 持続可能な観光地域づくり戦略 | 観光政策・制度 | 観光庁 (mlit.go.jp)

文部科学省

文化庁

舞台芸術等総合支援事業

文化芸術を通じた国家ブランド形成・経済活性化、文化的環境の地域格差を解消しあらゆる人に文化芸術に触れる機会を提供、という観点から、屋外広告物を利用したものを活用すれば、制度利用が検討できるものとみております。

国際芸術交流という点で舞台芸術の公演活動の支援、芸術家等人材育成という点で新進芸術家等に対する舞台公演・展覧会等の実践機会を提供する取り組み、という点で考えてみると、何かしら活路を見出せる可能性があるのではないかと思われます。

各種助成金・支援制度一覧 | 文化庁 (bunka.go.jp)

経済産業省

中小企業庁

屋外広告物そのものというより、施工業者・製作業者様向けのメニューが多いです。
印刷業や情報通信業等の他業種から屋外広告業への参入、という点で利用できる余地があるかもしれません。

事業再構築補助金

コロナ後の時代の経済社会の変化に対応するため、新分野での事業展開や業態転換等の事業再構築に挑戦する中小企業を応援する制度です。

本記事執筆時点での直近では、第12回公募が令和6年4月23日~7月26日(金)18:00まで行われました。次回の募集は現時点では未定です。

トップページ | 事業再構築補助金 (jigyou-saikouchiku.go.jp)

中小企業生産性革命推進事業

設備投資、IT導入、販路開拓などへの補助を通じ、中小企業・小規模事業者の生産性向上等に向けた取り組みを支援する制度です。

ものづくり補助金やIT導入補助金、小規模事業者持続化補助金といったものが挙げられます。

IT導入補助金は最近カタログ式に制度が変わっており、カタログ内のサービスを選んで導入していく、というような形に変わりつつあります。また、小規模事業者持続化補助金はコロナ明けから採択率が非常に下がってきており、以前に比べて気軽に

TOP | 中小企業生産性革命推進事業 (smrj.go.jp)

中小企業活性化・事業承継総合支援事業

いわゆる事業承継や引継ぎ支援のための制度です。

高齢化が進む日本ですが、次世代への事業の承継という点は、さまざまな分野で大きな課題となっております。

中小企業庁:令和6年度「中小企業活性化・事業承継総合支援事業(中小M&A支援の実態把握に関する事業)」に係る企画競争の募集を開始します (meti.go.jp)

都道府県の補助金の例

国の制度で地方に交付されて、都道府県が窓口となっている事業が多いですが、都道府県で独自の制度を設けている場合があります。
また、都道府県が公募して、応募する事業者が市町村の場合もあります。

大阪府市町村等観光振興支援事業補助金

補助対象者
  • 大阪府内の市町村
  • 市町村観光協会
  • 地域の観光振興、魅力発信などを目的として設置され、市町村が出資しているか構成団体の一員となっている団体
  • 地方自治法157条に規定する「公共的団体等」で法人格のある団体
補助対象経費と補助率

設置、改修費、企画立案費(新たに取り組むものに限る)、広報プロモーション費

補助対象経費の1/2以内(1,000万円以内)

令和6年度 大阪府市町村等観光振興支援事業<補助金>/大阪府(おおさかふ)ホームページ [Osaka Prefectural Government]

東京都 建造物等のライトアップモデル事業

民間事業者、区市町村、観光協会、その他の法人を対象に、所有する建造物や屋外に設置されている記念碑や美術作品等を観光振興に向けたライトアップを行うことにより、都市景観の向上と観光客の誘客を図る事業です。

助成対象経費2/3以内 1団体3,000万円
(統一的なコンセプトで複数対象をライトアップし、エリア全体への活性化に寄与する事業は6,000万円)

令和6年4月22日(月)~7月8日(月)17:00までで、現在は募集終了しております。

神奈川県 観光客受入環境整備費補助

外国人観光客の周遊に資する受入環境整備事業、新たな観光需要への体制整備事業について補助を行う制度です。

補助率1/2 1事業者の上限額は100万円となっております。

令和6年度神奈川県観光客受入環境整備費補助について – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)

市町村の補助金の例

神戸市 景観形成助成

良好な都市景観の形成に貢献する建築物、外構、屋外広告物の整備などを行う場合に、整備費等の一部を助成します。

神戸市:景観形成助成 (kobe.lg.jp)

川崎市 優良建築物等整備事業

共同化タイプ、市街地環境形成タイプ、マンション建替タイプの3種類があります。
市街地環境形成タイプであれば、歩道整備等も兼ねて屋外広告物を設置するのもありかもしれません。

補助率1/3 かつ予算の範囲内

川崎市 : 優良建築物等整備事業について (city.kawasaki.jp)

大阪府 みどりづくり推進事業

地域の緑化組織(地域住民、PTA、民間企業、NPO等で構成される当該地域の緑化活動を実施する組織)が協働で行う、緑化活動を助成する事業です。「地域の緑化組織が行う緑化活動」とは、緑化活動を行う箇所の周辺住民等が自らの意思により緑化する活動のことを指します。

最低5年間は、適切な維持管理を行う必要があります。

補助対象額の2分の1以内で、上限は300万円

みどりづくり推進事業/大阪府(おおさかふ)ホームページ [Osaka Prefectural Government]

最後に

これらはほんの一例です。屋外広告物、景観、まちづくり、緑化等、やりたいことのキーワードや分野から考えてみると、現在検討・計画している案に利用可能な制度があるかもしれません。

なお、補助金の原資は税金です。予算が成立しないことには補助金制度は成り立ちませんし、募集、採択、事業実施、実施報告、そして補助金支払いと非常に長期にわたる形となります。

参考までに、来年度の税制改正の資料をご確認いただくと、来年度の国で検討している制度の一端がみえてきます。
もしご興味ありましたら合わせてご確認ください。

令和7年度税制改正 – 国土交通省 (mlit.go.jp)

当事務所では、屋外広告物・景観に関する制度のご相談について承っております。お気軽にご相談ください。

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