看板等の屋外広告物にまつわる事件

今回は、屋外広告物にまつわる事件についていくつかの事例をご紹介いたします。

札幌市における看板落下事故

平成27年に発生した事案です。老朽化した看板が落下し、歩行者の頭部に接触し重傷を負うという事故が発生しました。事故を受けて、全国的な調査が行われることとなりました。

当時の資料は下記のリンクよりご確認いただけます。
001069815.pdf (mlit.go.jp)
001088042.pdf (mlit.go.jp)

報道発表資料:広告板の調査について - 国土交通省 (mlit.go.jp)

札幌市の報告書は下記のリンクより
siryou27-1.pdf (city.sapporo.jp)

調査報告書

調査対象建築物の内訳↓


建築指導が必要とされた建築物の内訳↓

 当時の調査報告書によると、全国で調査対象建築物の数が71,542棟、調査報告のあった建築物の数は48,204棟(調査対象の約67%)でした。うち是正指導が必要とされた建築物の数は1,516棟(調査対象の1.3%)です。

なお、屋外広告物の規制主体は都道府県、政令指定都市、中核市、景観行政団体である市町村となっています。つまり、国で一括して管理しているわけではなく実際に存在する屋外広告物はどれぐらいあるのか?というのは国の統計データを探してみても見当たらず、この調査は貴重な情報となっております。

報告書では、都道府県別の広告板調査結果も公表されております。

都道府県別で見た場合、大阪府が圧倒的に継続調査が必要な件数が多い結果となっております。

条例により許可が不要な屋外広告物もあるとはいえ、本来許可が必要であると思われるものの実際のところは無許可状態で設置されている屋外広告物も一定数存在すると考えられます。

大阪市のラーメン店の事例

事故ではないですが、裁判にまで発展した事例もございます。

二審も立体看板撤去命じる 大阪「金龍ラーメン」訴訟(共同通信) - Yahoo!ニュース

立体看板である龍のしっぽ部分が隣接地にはみ出ているとして、土地の所有者が店の運営会社に撤去を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は29日、しっぽ部分や外壁のひさしの撤去を命じた一審判決を支持し、店側の控訴を棄却した。

大阪市内の観光名所の道頓堀での事案です。突き出しの看板では、上空といえど敷地外に出ている場合は道路占用許可や隣地への使用許諾が必要となります。今回の事例では私道にはみでていたということで、裁判沙汰となり撤去命令が出ることとなりました。

アイドルを襲った悲劇

芸能人の方が被害にあわれた事例も過去にありました。

2018年に歩道を歩いていた際に強風によって倒れてきた国史跡の木製の案内板の下敷きとなり、下半身不随となり以後車椅子での生活を余儀なくされることとなりました。当時大きくニュースでも取り上げられたのは私も記憶しております。

猪狩ともか 事故で看板の下敷きに 「仮面女子」車椅子のアイドルの思い |NHK事件記者取材note

26歳アイドル「あの日、私を襲った事故」の真実 猪狩ともか「突然、看板が倒れ、下敷きに…」 | 読書 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

国から湯島聖堂の管理を委託された公益財団法人との間で裁判外の和解が成立し、和解金が支払われております。しかしながら安全対策を怠ったとして湯島聖堂を所有する国に計1千万円の損害賠償を求めた訴訟が行われることとなりました。結果的に、「看板が国によって管理されているとは認められない」として請求は棄却されました。判決の中で、看板の掲示内容は財団法人の学習講座の紹介が大部分を占めており、文化財保護法で定める「標識」や「説明板」には該当しないと指摘され。「国が看板を所有、占有していたとは認められない」と結論づけられました。

「仮面女子」猪狩さん看板下敷き国賠訴訟、請求を棄却 - 産経ニュース (sankei.com)

突風による看板落下

埼玉県内でアパートの屋根が飛ばされ飲食店の看板も落下 活発な積乱雲が通過したことで突風被害発生か(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) - Yahoo!ニュース

2024年7月の埼玉県での事例です。付近を歩いていた男性の頭部に接触し、重傷を負ってしまう事件が発生しました。ニュースで竜巻注意報や突風の恐れがある場合等は、特に周囲に気を付ける必要があります。

道頓堀のビル火災

屋外広告物が被害を拡大させたと言われている事案もあります。

令和7年8月18日に道頓堀のビル火災が発生しました。消防職員2名が殉職、負傷者5名という大惨事となりました。

2025.12.25付で中間報告の資料が開示されています。

大阪市中央区ビル火災事故調査中間報告(概要) https://city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/cmsfiles/contents/0000669/669197/chuukan.pdf

【現場検証・動画分析を踏まえた火災進展】
本火災は、西側建物敷地内南西部地上付近で出火したことが発端である。

発生直後、雑品が燃焼することに加え、付近に設置されたエアコン室外機が火炎に晒されて燃焼を助長。上方の屋外看板及び看板が設置されていた木製工作物に延焼するとともに、屋外看板の背面の外壁に設置されていた室外機にも延焼。さらに燃焼が拡大され、建物と屋外看板との間隙も影響し、火炎が壁面を這うように上方へ伸展した結果、急速に垂直方向へ延焼。上下階に連続的に設置されていた屋外看板を燃焼させ、まもなく東側建物の屋外看板にも延焼した。

【各段階の要因分析】
(危機的状況に陥った要因)
複数のエアコン室外機の燃焼や不燃材ではない屋外看板、建物と屋外看板の間隙、東側建物南面5階開口部の脆弱性(網入りガラス、ウインドエアコンの焼損)など建物構造の弱点により、延焼が急速に拡大した。東側建物の5階の室内は一時的に酸素が制限された状態となったが、扉開放時に急速な空気流入でバックドラフトが発生。室内階段を介して火・煙・熱が一気に6階へ到達した。。小隊は北側からの進入で南側の危険性の認識が乏しく、情報共有が不十分であり、バックドラフト発生のリスクなど現場の危険予測にも限界があった

最後に

問題が発生した後では甚大な損害が発生します。建物の上部に設置しない場合であっても、強風によりとばされたり転倒して、人や他人の財産に甚大な被害を与える可能性があります。看板の重量はものにもよりますが非常に重く、回避できなかった場合は重症は免れないと考えた方がよいでしょう。

看板の落下事故が起きた場合、最初に責任を問われるのは看板の「占有者(管理者)」であり、過失がないことが証明された場合は、建物の「所有者」、オーナーが「無過失責任」として損害賠償を支払わなければなりません。これらの事例から、看板の安全管理が重要であることがわかります。安全な社会を維持するためにも、定期的な点検とメンテナンスが必要です。

なお使用しなくなった看板を撤去する際や、管理者や所有者が変更となった場合は、届出が必要となります。
看板等の屋外広告物の手続きに関するご相談は当事務所でも承っております。お気軽にご相談ください。

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