今手元にある強みを活かす知的資産経営
今回の記事のテーマは、知的資産経営です。
この言葉を見ただけではとっつきにくい印象を受けるかもしれませんが、本記事を読んでいただければ、根本の考え方についての理解は決して難しいものではなく、実に単純なものであることがお分かりいただけるかと思います。
『えっ?!そういうことでいいの?!』という『気づき』をお持ち帰りいただければ幸いです。
知的資産について
知的資産とは
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 人材: 従業員が持つ、知識や技能、特殊なスキル等
- 技術: 特許やノウハウ等。
- 組織力: 効率的な組織運営、社員の意欲を高める社内制度等
- 取引先や顧客とのネットワーク: 信頼関係や顧客基盤、仕入れルート等
- ブランド: 企業の評判や価値、商標登録によって保護されている場合も。
企業の経済活動の結果である売り上げや利益といったものは、財務諸表で金額という計測可能な尺度で捉えることができます。しかし上記のような無形の魅力、強みは財務諸表ではなかなかみえてこないものです。似たような言葉で知的財産という言葉があります。知的財産の例として、特許権登録した技術、商標権登録したロゴ、意匠権を登録した製品のデザイン等が挙げられます。
知的資産は、上記のような知的財産に限りません。効率的な組織運営、社内制度、卓越した社員がもつ技能やスキル、自前の仕入れルートといった、法律上の登録制度で保護されないものの人の知的活動の結果蓄積された無形の資産も知的資産に含まれます。
個人に例えてみれば、『わたしの強みはなんだろう?』と自己分析してみると考えれば、イメージしやすいのかと思います。
知的資産の図解
図解してみると、以下のようになります。
『無形資産 > 知的資産 > 知的財産 > 知的財産権』というイメージです。
知的資産の中身
知的財産と知的財産権は知的財産基本法で定義されている
知的資産と知的財産、知的財産権の違いについてここで触れておきます。知的資産については法律の条文で定義が記載はされていませんが、知的財産権、知的財産については、知的財産基本法にその定義が明文化されております。
第二条 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。
2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。
知的財産基本法 | e-Gov法令検索
知的財産、知的財産権以外は本記事執筆時点において特段個別の法律で定義されておりませんが、記事の便宜上、以下のように定義づけることとします。
本記事での定義づけ
知的財産権
定義 :法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利
具体例:特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権、など・・・
いわゆる法律上の権利の名前です。
知的財産
定義 :知的財産権により保護されるノウハウや情報、成果物
具体例:ブランドのロゴ、自社商品の仕掛け、デザイン、作品、など・・・
知的財産権によって実際に保護されることとなりうるものと言えます。
知的資産
定義 :知的財産に加えて、知的財産権によって保護されるものではないものの、経験、創意工夫、信用、信頼等、人の知的活動によって構築されたきた無形の資産
具体例:人的資産、経営理念、技能、営業スキル、取引先とのネットワーク、付き合いの長い顧客、社内制度等・・・
知的資産経営・知的資産経営報告書について
上記に述べたような、無形の魅力、強みともいえる無形の資産を把握し、経営に生かしていくというのが知的資産経営であり、知的資産をひとまとめの資料にしたものが、知的資産経営報告書です。
知的資産経営については、国や地方公共団体でも推進されております。
知的資産経営ポータル (METI/経済産業省)
みえにくいけれど価値あるものは非常に多く存在します。たとえ自分たちの中では『当たり前』で取るに足らないように思える習慣であっても、外から見てみると立派な『強み』にみえるものもあるでしょう。これらをレポート化すると、さまざまな用途に利用が可能です。
もっとも、すでにWebサイトを立ち上げていたり会社や事業紹介のチラシやパンフレットを作成したりしているところも割とあるのではないかと思います。ただ、それらのベースとなる情報をまとめた資料を準備している事業者の方は、あまりいないのではないかとみております。
散在している強みをアップデートして資料にまとめておく、これは割と重要なのではないかと思うわけです。ベースとなる資料から情報をひっぱってきて、それぞれの用途に応じて加工して使いやすくなるというメリットはあると言えます。
自己分析、人生のどこかで皆さん一度はされた経験がある方もおられるのではないかと思います。
それをご自身の事業でより深くやってみる、そんなイメージです。
しかしそうはいっても、なかなか自己分析をするのが難しかったり、それらを資料にまとめることはなかなか難しいものです。大企業であればまだ作成しやすい部分もあるでしょう。しかし人手が足りていない企業においては、なかなか難しい部分はあるかと思います。また他の人が外からみて初めて気づくこともあるかと思います。外部の専門家にまとめてもらうほうがいい部分があるかもしれません。主な支援機関としては、中小企業診断士、税理士、そして行政書士等が挙げられます。
ひらたくいえば、外部の専門家としての視点から俯瞰して強みを見出し、さまざまな分析手法を駆使して、『徹底的に真面目に分析した上で褒めちぎったものを資料にまとめる』仕事ではないかとみえます。事務所の方針として掲げた方針にも非常にマッチしております。
当事務所では、知的資産経営報告書作成支援業務について、積極的に取り組んでおりますので、お気軽にご相談ください!